親などからの子どもに対する虐待に関して児童相談所が対応した件数は、2020年1月からの半年間で過去最多のペースとなっています(厚生労働省調べ)。虐待は、子どもを愛せず、憎く思っている家庭にだけ起こるものではありません。なぜ、虐待は起こってしまうのでしょうか。
虐待をしてしまう原因
虐待をしてしまう原因としては主に3つに分けられます。
・自分のイライラや不満を子どもにぶつけてしまう
・子どもに対してよかれと思ってやっている
・子どもに対して、全くの無関心である
もう少し詳しくみていきましょう
自分のイライラや不満をぶつけてしまう場合
・親自身が過去に虐待を受けていた
・親自身が夫からDVを受けている
・親しい友人や親戚がおらず、孤立した生活を送っており、頼れる人がいない
・子どもに心理的に依存している(兄弟の世話を任ているなど)
・望まない妊娠や育てにくい子どものため、子どもに対して回避感情がある
・生活に多くのストレスがある
といったことが考えられます。
子どもに対してよかれと思っている場合
・しつけをするために厳しい体罰を与えることが当然であると考えている
・親の考える方法が最適だと思っているため、子どもが思う通りに対応しないことに納得がいかない(教育虐待など)
などが考えられます。
子どもに対して全くの無関心の理由
・望まない子どもである
・育てにくいため、子どもに対して回避感情がある
などが考えられます。
虐待はなぜ恐ろしいのか?
このように、そもそも、虐待をしようと思って子どもに対し虐待をおこなう親はあまりいません。イライラした自分の気持ちを結果的に子どもにぶつけていたり、よかれと思ってやっているしまったりしていることさえあるのです。
虐待の難しさは、自身が「虐待をしている」という認識がないまま、虐待がエスカレートし、止められないところまでいってしまう可能性があるところです。子どもが虐待で疲弊してしまうだけでなく、親自身の心身もまた疲弊し、最悪親子どちらか、または親子一緒に「死」にいたってしまうこともあります。
虐待を止めるには
2020年1月からの半年間で虐待が過去最多のペースとなっていますが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が出されていた5月は、昨年より減少しているという結果がでています。「学校などからの情報提供が減り、潜在化した可能性がある」との専門家による指摘もあるようです。
つまり、虐待を止めるためには、なるべく早く第三者が気づくことが重要となります。虐待をしていることに自身で気づいたとしても、親が孤立していたり、親が隠そうとしたりすれば、第三者が気づくことはなかなか難しいのが虐待なのです。
虐待は誰にでも起こりうるという認識のもと、他人事ではなく、自分が子どもに虐待をしていないか?と自分自身に問いかけることが虐待を減らす一歩となるかもしれません。