公園で出会った見知らぬおばさん
長女が1歳半のとき、公園で遊んでいると散歩をしていたおばさんに話しかけられました。そのころ長女は人見知りとは無縁。誰にでも愛想のいい子だったので、知らない人に話しかけられることがよくありました。私もいつものように長女が見知らぬ人とやり取りしているのを微笑ましく見ていました。
その中でおばさんが自分のかばんを開けて何やらゴソゴソ……。そこからお菓子を取り出し、長女と話をしながら食べ始めたのです。「子どもの前で食べるのかぁ……」とうっすら嫌な気持ちを感じつつも、私は見守っていました。
そのお菓子ちょっと待った!
すると案の定、長女はおばさんが食べているお菓子を欲しがりました。そして「あら食べる?」とおばさんは言い、自分の食べかけのお菓子をそのまま長女の口の中に入れようとしたのです! 私はとっさにおばさんと長女の間に手をねじ込んで、「ちょっ……! すみません!!」と遮りました。
そして長女には食物アレルギーがあり、何が入っているのかわからない物は食べさせられないと……。するとおばさんが「これは卵が入ってるわねぇ」と原材料を見ながらつぶやき、私が「卵はアレルギーなので食べられないんです」と答えたのですが、次のおばさんのひと言に耳を疑いました。
全然わかってくれない!
「大丈夫よ! これくらい! はいどうぞ!」。そう言って再び長女にお菓子をあげようとしました。「いや! いやいやいや……」。再び私が遮り、少し長女を遠ざけました。すると、「あのね、私の孫は小麦のアレルギーだからわかるのよ。孫はアレルギーでも少しくらいは食べてるの。アレルギーだからって何でもダメって言うのは逆によくないのよ」。
おばさんの主張にめまいがする思いでした。アレルギーの程度は人によって違いますし、そもそも親がダメだと言っているものを無理矢理与えようとするなんて……。ぐいぐいくるおばさんに「このままここにいたらダメだ」と思い、「食べる!」と泣く長女を抱えて逃げるように公園をあとにしました。
自分の子どもが知らない人と交流するのは大いに結構です。ただ、誰もが食物アレルギーについて詳しいわけではないですから、常に油断ができません。これから長女が大きくなっていっても親が気をつけていなければいけないところだな、と改めて気を引き締めました。
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作画/ぐら子
著者:水田 真理
アレルギー持ちな娘の母で元理科の塾講師。子育てはできるだけ家にあるもので、娘と楽しめるように日々創意工夫を実践。