「赤ちゃんを産みたい」と思える情報を届けたい。ベビーカレンダーは「べビカレ特集」として、妊娠、出産、子育てなどママたちを取り巻く現状やさまざまな課題を問題提起し、取り上げています。今回はコロナ禍で増えている孤独な子育て=「孤育て」について。「孤育て」に向き合うママたちの現状をについて考えます。
あんなに待ち望んだ出産だったのに、産後は赤ちゃんのお世話に追われ、社会から取り残されたような気持ちになったり、孤独を感じやすくなったり。特に今はコロナ禍で外出が制限され、産後のサポートが受けにくく孤立しやすい状況でより孤独を感じてしまうことも。育児がつらい、もしかして産後うつ?と感じているなら、まずは産後うつがどんな症状なのかを知っておきましょう。なりやすいタイプや乗り切り方も紹介します。
産後は誰もがメンタルバランスを崩しやすい時期!
産後は体内のホルモンバランスが急激に変わる時期。妊娠中に分泌されていたホルモンすべてが出産時に胎盤とともに一気に体外に排出されてしまうため、産後は体内のホルモンバランスが急激に変わってしまうのです。
この変化が自律神経系に影響を及ぼし、初めての育児に対する不安や母親としての過度な責任感などのストレスに疲労が重なることでメンタルバランスが崩れ、「産後うつ」へ発展していくことがあります。
産後1~2カ月は特に注意
最もホルモンバランスが崩れるのは産後3〜5日くらいです。10日目くらいには徐々に元に戻ってくるのですが、今度は疲れが体を襲います。出産で疲れ果てている体でフルタイムの育児が始まると、疲れがさらに蓄積されます。
疲れた体で慣れない赤ちゃんのお世話をなんとかこなし、1カ月健診が終わってひと息つく産後1~2カ月のころ「産後うつ」になりやすいといわれています。
コロナ禍で産後うつのリスクが増加
本来なら誰もに起こる可能性のある産後うつですが、全員がなるわけではありません。産後ママの5~10%が産後うつ病になるとされています(※日本産科婦人科学会より)。それが2020年10月の調査(※1)では、22.4%とうつ傾向を示すママの割合が増加し、産後11カ月までその傾向が続くという結果が。コロナ禍では産後うつのリスクが増加し、長引く可能性があると言えます。
(※1)新型コロナウイルス禍における心身の健康の変化の調査 (インターネット調査)
(第1回 2020年5月31日〜6月6日、 第2回 2020年10月8 日〜10月12日)
調査対象:カラダノート、ベビーカレンダーのメルマガ登録者 回答人数:第1回 5558名 、第2回3861名
これって産後うつ?チェックポイント
「たしかに調子が悪いけれど、うつまではひどくないかな……」と思う人もいるでしょう。以下は産後うつの典型的な症状です。
□いつもより涙もろくなった。少しのことで涙が出る
□理由もないのに不安になったり心配する
□パパや周囲の人に対して、腹が立つことが多い
□孤独な気持ちになることが多い
□赤ちゃんを傷つけないか不安に思う
□自分は“良い母親または父親ではない”と感じてしまう
当てはまる点はありますか? これらは、誰もが多かれ少なかれ経験することかもしれません。とはいえ、当てはまる点がある場合は軽く考えず、産後うつの可能性があることを知っておきましょう。症状を知ることで悪化を予防することができます。
真面目で頑張り屋さんがなりやすい
気をつけたほうが良いのは、性格面では「真面目」で「頑張り屋さん」な女性。環境面では、パパの帰りが遅く、ワンオペ育児のご家庭。また、里帰り出産の場合、サポートのある環境からほぼない環境に変わってしまったときになりやすいようです。
つらい気持ちをひとりで抱え込まないことが大切
うつ病の予防には早期対策が重要だといわれています。まずは「自分は今つらい状況にある」と認めることからはじめ、ひとりで問題を抱え込まずに周囲と関わることが大切です。
頑張りすぎず、赤ちゃんと休もう
張り切りすぎてなんでも完璧にしようと思わず、休めるときは休みましょう。ポイントは、赤ちゃんに合わせる生活スタイルにすること。「赤ちゃんが寝たら家事をやらなきゃ」ではなく「赤ちゃんが寝ている間に一緒に休もう」と、赤ちゃんに合わせてゆったり過ごすことで生活が回りやすくなります。
パパに「産後うつ」について伝えておこう
一番身近なパートナーであるパパにも、産後うつのことを知識として知っておいてもらうことも大切です。変化に気付いてあげられなかったり、不安定な時期に喧嘩をしてしまったりなどのトラブルを事前に防ぐことができます。
また、育児の不安など、自分の考えを相手に伝えることも大切です。育児中はパートナーへの不満を感じやすいですが、日ごろから小出しで伝え合い、不満をため込まないようにしましょう。
ママ友と思いを共有してみよう
産後の体のつらさや初めての育児の大変さは、やはり同じ境遇にいるママ友が一番わかりあえるもの。母親教室などで知り合ったママ友たちと思いを共有することでストレスを発散することができます。
かかりつけの産院や助産師に相談
1カ月健診のときに、すでにつらい症状があれば医師に伝えてみましょう。また、
助産師外来を設けている病院なら、助産師や看護師に相談するのもいいですね。おっぱいのことなど育児全般の相談にも乗ってくれます。最寄りの自治体の保健センターや健康センターなどの公的サービスを活用してもよいでしょう。
まとめ
産後うつは、ホルモンバランスの崩れを発端に、いろいろな条件が重なって発症するもの。誰にも起こりうる病気と知って、まずは自分の体調が悪いことを認めて許すことが大切です。「赤ちゃんが生まれて幸せなはずなのになぜ」と自分を責める孤独な子育て=孤育てではなく、パパをはじめ周囲の人々と一緒に、みんなで赤ちゃんを育てていきましょう。
※参考:日本産婦人科学会「日産婦誌54巻7号」(産褥異常の管理と治療,N―207,2002-7,閲覧2017-11-6)、日本産科婦人科学会「第一回『診療ガイドライン-産科編 2017』」(コンセンサスミーティング用資料,p.28,2016,閲覧2017-11-6)〈 http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/01/img-408102737.pdf 〉、米疾病予防管理センター「Depression Among Women」(2017-2-15,閲覧2017-11-6)〈 https://www.cdc.gov/reproductivehealth/depression/index.htm 〉