『くだものさん』(学研教育出版)
亀山達矢さん、中川敦子さんのユニット・tupera tuperaの絵本です。
秋は「食欲の秋」とも言われます。秋ならではの食材と言えば「果物」。物語の舞台は果樹園です。「かじゅえんに やってきました くだものさん くだものさん だあれ」というと、葉っぱに隠れた果物がしかけ絵本になって顔を出します。
「ぽろりん りんごさん」とにっこり笑ったりんごさんが顔を出します。次のページには「くだものさん くだものさん だあれ」と、葉っぱに隠れたまた違う果物たちが出てきます。
「くだものさん くだものさん だあれ」と繰り返しがあること、しかけ絵本になっていること、季節の身近な果物が出てくること。その果物たちの表情が個性豊かなこと。どれも子どもたちにとって楽しめる要素です。何度も読んでいるうちに「くだものさん くだものさん だあれ」のページで少しだけ見える果物を先に「カキ!」と子どもが答え始めることもあるでしょう。「わ!これで分かったの?カキかな~?」なんて言いながら、絵本をめくるのもいいですね。
『おふろにいれて』(ポプラ社)
せなけいこさんの絵本です。登場人物は、男の子のりゅうちゃんと動物たち。そして、せなさんの絵本によく出てくる「おばけ」です。このおばけ、実はお風呂が大好きなんです。
「みなさんは おふろが すきですか? りゅうちゃんが おふろにはいっているとー おやおや まどで だれかが のぞいているぞ」と、犬、猫、うさぎと次々と動物たちがお風呂に入ってきます。そして、次にやってきたのが、なんとおばけ!
みんなびっくりして逃げ出しますが、おばけは「ぼくは いいこの おばけだよ!」と言ってみんなに呼びかけます。夏は、シャワーだけだったご家庭もあるでしょう。肌寒い秋がやってきて、湯船につかる機会も増えますので、ぜひ親子で読んでほっこりあたたかくなってください。
『ぐりとぐらのえんそく』(福音館書店)
なかがわえりこさんとやまわきゆりこさんの「ぐりとぐら」シリーズです。
秋の風を感じていると、なんだか自然豊かなところにお出かけしたくなる気持ちになりませんか? そんなときはこの絵本がおすすめです。「リュックサックを しょって すいとうを さげた のねずみの ぐりとぐらは、いくら リュックが おもくても くたばらないぞ くりとくら えんそくの たのしみは りゅっくのなかの おべんとう ぐり ぐら ぐり ぐら」と物語が始まります。
「そろそろ おひるの ベルが なるころだ」と時計を見るとまだ10時。体操したりマラソンしたりしていると、ぐりが毛糸に絡まり転びます。ずっと続く毛糸の先は……と物語が続きます。
ぐりとぐらの絵本の楽しみと言えば、何といってもおいしそうな食べもの。今回も物語の後半に、ぐりとぐら特製のおいしそうなお弁当が出てきます。見ているだけでおなかがグーッと鳴りますね。私も中高生の子どもたち連れて、近くの河原へお弁当持ってピクニックに行きたくなりました。
『14ひきのあきまつり』(童心社)
いわむらかずおさんの14ひきのシリーズの絵本です。14ひきのねずみの家族が住んでいる森に秋がやってきました。「あきの もりで かくれんぼ。こんどは さっちゃんが おに。もういいかい。まあだだよ。おかあさんたち、きのみとりに いってるよ」と物語が始まります。
かくれんぼをしているうちに、ろっくんが見当たらなくなりました。家族でろっくんをさがします。すると、森の中ではバッタやかえる、きのこ、どんぐりたちが「わっしょい わっしょい」とおまつりをしています。ろっくんを探している間に出会う不思議な風景。そして、ろっくんはどこにいったのか?
大人の私は、少し緊張しながら読み進める絵本です。14ひきのシリーズは、森の季節の描写がとても美しく、ページをめくるたびにその絵を見て楽しくなります。物語ももちろんですが、目で見て楽しめる絵本ですね。そして、最後には家族14ひきの食事のシーンがあります。
今回は、秋に読むのにおすすめな絵本を4冊紹介しました。秋ならではの絵本を見つけて、お子さんと楽しんでくださいね。