2021年も10月になり、会社員・公務員等の給与所得者の方は年末調整の案内が届いたり、書類を準備したりする時期になってきました。勤務先から書類が渡されたり、保険会社から控除証明書が届いたりと、準備を進めている方もいらっしゃると思います。今回は2021年(令和3年)の年末調整の手続きについてのポイントについてお伝えします。
2021年の年末調整の変更点
税制改正や制度変更に伴い、年末調整の手続きは毎年変更する点があります。2021年に変更となった主な2点をお伝えします。
(1)税務関係書類における押印義務の改正
年末調整等に提出する書類について、昨年までは押印の必要がありましたが、令和3年分(2021年分)から押印が不要となりました。多くの方が記入する以下の①~③の書類も押印は不要です。
①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②給与所得者の保険料控除申告書
③給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
(2)年末調整の電子手続きの簡易化
年末調整は以前から電子データでの手続きも可能でしたが、実施するためには勤務先から事前の申請を税務署へ行い、承認される必要がありました。しかし、令和3年分(2021年分)から事前承認が不要となり、電子データでの手続きのハードルが下がりました。
実際には、勤務先が書類での提出を必要としているか、電子データでの提出が可能かによりますので、個人の希望で電子データでの手続きができるわけではありません。今年から勤務先が電子データでの対応を始めた場合には確認の上、年末調整の手続きをしましょう。
子育て世帯に多い年末調整の控除のポイント
子育て世帯に限るわけではありませんが、子育て世帯で多くの方が申請する可能性のある控除について、3点まとめてみました。内容や書類をご確認ください。
①生命保険料控除
学資保険や生命保険、医療保険等に2021年中に支払った金額がある場合、保険料の控除証明書が10月末までを目途に保険会社から届きます。一括払いの場合は、保険証券に同封していることもあります。届かない場合は、保険会社に連絡して再発行してもらうと良いでしょう。
②住宅ローン減税(正式には住宅借入金等特別控除)
2020年以前に対象となる住宅を購入し、住んでいる場合に金融機関から「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が届きます。2年目以降の住宅ローン減税の適用を受ける人はこの年末残高等証明書と合わせて、税務署から届く「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」・「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」を提出します。
住宅を購入して1年目の場合は、年末調整では手続きできませんので、年明けに確定申告を行ってください。
③小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金・個人型(iDeCo)や中小企業基盤整備機構の共済、心身障害者扶養共済制度の掛金がある場合は、各団体から払込証明書が届きますので、年末調整でこの控除を追加してください。
年末調整までに上記の控除の証明書が間に合わなかった場合には、人事・総務等の年末調整担当部署に確認して後日に提出・手続きができるか確認をされるといいでしょう。年末調整に間に合わなかった場合は、翌年の1月4日から税務署で確定申告をすれば、年末調整でできなかった控除の追加をすることで、年末調整と同じ税額になり還付を受けることができます。
また、病気の治療費や分娩費用等で多額の医療費がかかった場合の「医療費控除」や災害や盗難などの被害があった場合に適用される「雑損控除」は年末調整では申請できませんので、こちらも確定申告を行うこととなります。
毎年手続きに手間のかかる年末調整ですが、12月から1月にかけて多くの方が還付を受けられる可能性のある手続きですので、漏れのないように手続きをしていただければと思います。