毒親育ちの彼と結婚して感じたこと
『機能不全家族ー「親」になりきれない親たち』(西尾和美 著/講談社 刊)という本によると、日本の家族の約80%が機能不全状態であるそうです。
私の場合、プロポーズをしてくれた彼は筋金入りの毒親育ちでした。交際をしているころから彼から親のことはよく聞いていて、彼は幼少期から虐待を経験しており、両親の離婚後は母親が数日〜数週間、家に帰ってこないこともよくあったそう。
そのためか、夫は毎日お風呂に入る、歯を磨くといった生活習慣が、結婚をした今でもあまり身についていません。独身時代の一人暮らし歴は長いのに、掃除や片付けが壊滅的なまでにできないのです。
今は、妻である私が家事全般を担当しており、夫は家事に対して小言を言ってくる人ではないので、むしろ自分のペースで家事ができてありがたくはありますが……。
また、夫は両親とほぼ絶縁状態なので、子どもが生まれてからも義両親との関わりは一切ありません。援助もありませんが、面倒な親戚付き合いがほとんどないのは意外にも結婚後のメリットに感じています。
飲酒量を注意しても聞く耳をもたない夫
ひと口に毒親育ちと言っても、人によって抱えている問題や心理状態などはさまざまで、結婚後に起こるトラブルや悩みも一概には言えないと思います。ですが、夫と結婚して問題に感じたのは「一般的な常識が通用しにくい」という点でした。
夫は自分の親を反面教師にして、家族との時間をとても大切にしてくれています。しかし飲酒量がかなり多く、「健康のためにも控えてほしい」と訴えても聞く耳を持ちません。
彼の母親がアルコール依存症だったそうで、夫は「それに比べれば自分は全然マシだ」とよく言いますが1日に500mlのビール缶を平気で6本以上飲んでしまうことも。それは一般的な飲酒量ではないと私は思います。
結婚にも消極的だった
また、夫は交際中、家庭を築くことに強い不安感を持っていました。実際に「どうせ結婚してもうまくいかない」「子どもが生まれても不幸が連鎖するだけ」などと結婚には消極的に考えがちでした。
それでも私と一緒に生活していくうちに「幸せな家庭を築いていきたい」という気持ちが強くなったようです。私も「親のことは反面教師にすれば大丈夫。常に感謝の気持ちをお互いに持ち続けるようにしよう」と彼に言い、日ごろから「ありがとう」という言葉を意識して言うようにしています。結婚後の彼は、何気ない日常でもとても幸せに感じる瞬間があるようで「本当に幸せだよね」と言ってくれるときがあります。
夫と結婚してから、夫の常識的ではない部分を許容できないこともしばしばありましたが、同時に自分が周りの目を気にしすぎて、ネガティブに捉えてしまっていた部分もあったのかなと自身の歪みにも気づくことができました。
結婚生活には、お互いの気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。それに加え、毒親のもとで育った夫と結婚して、「理解できなくても向き合う」ということも大事だと気づきました。
夫も私のことをすべて理解してくれているわけではありませんが、とてもやさしく彼なりにいつも私のことを考えてくれています。喧嘩をしても後から謝ってくれるのですぐに仲直りもできます。
彼の愛情深いところはもちろん、人として完璧じゃないところが私にとっては逆に心地良く感じられ、だからこそ対等に接することができているのかなと感じます。100%許容できなくても、思いやりや愛情を持って接する。不完全だからこそ支え合う。そんな関係になれたらいいなと思っています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!
著者/野中尚子