しばらくはお付き合いを続けて、4人の関係を良くしていこう。私はそう考えて生活していましたが、数カ月後、子どもたちと彼は親子になったのです。
ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=“新しい家族のカタチ”について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声をご紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。
子どもたちに会わせる。そう決意したのは
私と彼のデートは、仕事帰りに私の家まで彼が送ってくれるというドライブデートが主流でした。楽しくて幸せな時間ですが、育児をぞんざいにしているのではないかと不安になることもありました。そんな交際から3カ月ほど経ったある日、初めて日中に2人で会う約束をしたときに彼はこう言いました。
「ママと俺がデートしてきていいか、子どもたちに聞いてみて? いつも仕事でいなくて寂しいのを我慢しているかもよ?」
彼は子どもたちも好きになってくれる人だと、確信した一言でした。子どもたちを思いやってくれる彼の言葉を聞いて、彼と子どもたちを会わせようと決意したのです。
妊娠が判明!せっかく良好な関係が…!?
「お父さんって呼んでいい?」
「(彼の家に)オレたちだけでお泊まりしたい!」
あっという間に彼になついた子どもたち。彼も子どもたちと一緒の時間をたくさん過ごしてくれて、良い関係が作られていきました。
そんな、子どもたちと彼が出会ってから1年ほど経過したころのある日、私は生理が遅れていることに気付きました。妊娠検査薬の結果は陽性。彼との子どもを妊娠したのです。やっと4人で仲良くなれたのに、この関係を壊してしまうのでは……、ととても悩みました。
ついに告白。子どもたちと彼の反応は?
「ごめんなさい。たぶん妊娠しました。」
彼の家にみんなでお泊まりした朝、ソファで彼と子どもたちがくつろいでいる前で、私はそう伝えました。
どんな決断するにしても、子どもたちには迷惑がかかる、そう思ったので、伝えたあとは思わず頭を下げました。そして、妊娠検査薬を撮影した携帯画面を見せたあとは、反応がこわくてなかなか頭を上げられませんでした。
しかし予想に反して、彼を含め子どもたちも大喜び。女の子だったら、男の子だったらと会話が弾み、結婚と引っ越しの話も進みます。1人で悩んでいた自分がバカみたいでした。
待望の赤ちゃんと、やっと対面する3人
「かわいい!かわいい!」
「早く抱っこしたい!」
家の玄関を開けたら、帰ってきた私と赤ちゃんを前に子どもたちが跳びはねて大はしゃぎ。
コロナ禍での出産のため、立ち会い出産も面会も禁止。私1人で元気な女の子を出産しました。子どもたちも彼も、退院した日に初めて赤ちゃんに対面したのです。
迎えに来てくれた彼に赤ちゃんを預けたところ、左手で首、右手にお尻を持ち、天に捧げるように抱っこしています。予想以上に小さくて、抱き方がわからなくなったそうです。子どもたちは、待ちきれなかったのでしょう。赤ちゃんの顔をのぞいたり、触ったりしていました。赤ちゃんが生まれて喜んでいる姿を、動画で残さなかったことを今でも後悔しています。
私はステップファミリーとして生活を始めるために、たくさん悩みました。私と彼の関係、私と子どもたちの関係、そして彼と子どもたちの関係。どれもないがしろにしてはいけないと思ったからです。しかし、新しい命が生まれて、ますます家族として絆が深まったように感じています。これからも5人で協力して、家庭を築いていきます。
著者:樋口 みき
13歳と1歳の女の子、10歳の男の子を育てる母。離婚、婚活を経験し、ステップファミリーとして生活。年の差兄弟の生活スタイルの違いに翻弄されつつ、パワフルに生きる。