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子育て世帯は知っておきたい!最近の日本の教育改革とこれから伸ばしたい3つの力

最近よく耳にする「教育改革」という言葉。「まだまだ学校は先だし……」と思っていませんか。この数年で保育園の在り方も大きく変化しています。パパママが過ごした子ども時代とは全然違う教育の現場。大阪教育大学教育学部教授の小崎恭弘先生は、「最近の教育改革について、小さい子を持つパパママたちは絶対知っておいた方がいい」と言います。知っておくべき教育改革のポイントを伺いました。

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保育士小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授、大阪教育大学附属天王寺小学校校長

兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信をおこなう。「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)、「育児父さんの成長日誌」(朝日新聞社)、「パパルール」(合同出版)など、著書多数。NHK Eテレ「すくすく子育て」出演。2022年より「保育」と「育児」分野のYahoo!ニュースオーサーに。
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小学校のタブレット学習イメージ

 

いま日本は、保育・教育の大転換期!?

詰め込み教育はもう古い! 続々と変化する教育現場

今、日本の保育・教育は転換期にあると言われます。5年前、幼稚園教育要領や学習指導要領などが10年ぶりに改訂されました。知識の詰め込み教育ではなく、「非認知能力」を育てる教育へ。今、その内容が段階的に取り入れられています。

 

今後の学習指導要領改訂に関するスケジュール

出典:「新学習指導要領について」P2(文部科学省)

 

既に保育園などでは遊びの場が変化し、小学校で英語やプログラミング教育、中学校で介護体験が導入されるなど、子どもたちは変化の時代を生きています。

 

非認知能力とは?これから伸ばしたい3つの力

盛んに謳われる「非認知能力」とは何でしょうか。非認知能力とは点数では測れない、学力とは別の「生きる力」のこと。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンによる40年以上の追跡調査「ペリー就学前プログラム」の結果から、非認知能力の重要性が明らかになりました。

 

非認知能力の育成を大きく意識して改訂したのが新しい学習指導要領。学びを通して「何ができるようになるのか」を重視し、次の3つの資質能力を育むことを目的としました。


・知識や技能
・思考力や判断力、表現力
・学びに向かう力、人間性

 

「子どもたちのこの3つの資質能力を育てていきますよ、という教育改革です。学習指導要領とは日本全国の教育を平準化するための基準です。保育園から大学まで、つまり0歳から大学生まで一貫してこういう考えになったんです。教育に一本筋が通ったのは初めてです」と小崎先生は評価します。

 

年代別にみる改革のポイント

保育園、幼稚園はどう変わってきた?

保育士と園児のイメージ

 

ちいさな子どもがいるパパママ世代が気になるのは、保育園や幼稚園の変化ではないでしょうか。乳幼児が通う保育園や幼稚園などでは、学校改革に先駆けて2018年度から改訂が始まっています。子どもたちの「3つの資質能力」を引き伸ばすため、「させる」保育(教育)から「したい」を大切にする保育(教育)へとシフトしています  。自然環境を生かした活動を取り入れたり、挑戦する機会を積極的に増やしたり、子どもたちの能動的な「やりたい!」の力を大切にする現場へと変化しているようです。

 

「改訂が実施された2018年からもう4年。保育現場はだいぶ変わってきました。『子ども主体の保育』がより先鋭化している。子どもたちの生活や遊びの環境の構成を丁寧に整え、非認知能力を意識したり、遊びの環境を考えたりして、非認知能力を育てるためのさまざまな工夫をしています。幼い時にしっかり遊んでいろんな経験を積ませてあげることで、子どもたちは成長していく。それが結果的に非認知能力を育てます」(小崎先生)

 

 

小学校で英語やプログラミングを、中学校で介護体験を学ぶ時代に

小学校でタブレット学習をしているイメージ

 

小中学校の現場でも一人1台タブレットやノートPCなどのデジタルデバイスが配布されるなど、教育改革は始まっています。小学校では、英語やプロミングを導入。ヒト型ロボットPepperを利用したプログラミング授業や、子どもたちだけで授業を進める公立小学校も。机がコの字型に並べられるなど、教室にも変化が見られます。

 

中学校では2021年から家庭科の授業で介護体験が必修に。以前から続く保育体験に追加されました。

 

高校の家庭科で資産形成、投資信託!?

今年4月から行われる教育改革の目玉は、高校の家庭科で「投資」を教えるようになること。「投資をしなさいということを教えるのではなく、資産運用や資産について消費者教育として教わるということです」。この背景には、4月から成人年齢が18歳になることが関連しているそうです。「18歳が一つの大人のラインになったので、この社会で自立して生きていけるような教育になったんです」と小崎先生は解説します。

 

大学入試にも変化が

教育改革を受けて、大学入試にも大きな変化がありました。2021年から入試は「大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト」へ。より表現力や思考力、判断力が問われるようになりました。

 

「これまでとは異なり、知識だけでなく同時に思考力や社会全体の関心などが問題に反映される傾向になってきました。選択肢も多いもので、9つから1つを選ぶ問題もあって、知識量だけでは回答できないものも出てきています」(小崎先生)

 

今から準備しておけることはある?

家族のイメージ

 

では、小さな子どものいるパパやママたちは今からどんな準備をしておけばいいでしょうか。

 

「塾や習い事がだめなわけではない。でもその知的な部分だけに熱心に関わる必要もない」と小崎先生は言います。大事なことは丁寧な関わりと豊富な経験なのだとか。

 

「子どもが小さいうちから丁寧な関わりを意識して、遊びの幅を広げた豊富な経験も意識しておくといいですね。安心して遊べる環境の中で、子ども達の「好き!」「不思議!」「おもしろい!」などという感覚を大切にしてあげてください。それは例えば、一緒に料理をする、お花に水やりをする、公園で砂遊びをする、虫を捕まえる、といった身近なことでいいんです。釣りやキャンプなど、パパやママの趣味を生かして、体験を広げてあげるのもいいでしょう。また、認めながら褒めていくと、子どもたちには粘り強さが育ちます。幼稚園にお任せしているから、習い事しているからいい、というわけではないんです」

 

パパが参加しなくてはもったいない! この時代の子育てはきっとおもしろい!

さらに価値観が多様化する日本の未来。今回の教育改革は、子育てをスタートさせたばかりのパパママにとって大きな指針となりそうです。変革を肌で感じるこの時代の子育ては、見方によっては面白いかもしれません。小崎先生はパパが積極的に参加しないのは「もったいない」と言います。

 

「これだけ保育や教育が多様化して、さまざまな視点や取り組みがなされてきている今、子育てや教育のこと全てをママに押し付けるのはもちろん、任せてしまうのはママも大変です。パパが教育に無関心では子どもにパパの経験や知識が伝わりません。もったいない! 子どもの教育は未来への先行投資です。わが子に適した教育のあり方を、パパから積極的に考えてほしいですね」

 

取材・文/大楽眞衣子
 

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    ライター大楽眞衣子

    社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。

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