使いたくなかった職場のトイレ
私が以前働いていた職場は、16畳のこじんまりした空間に5人程の少人数で働いていており、女性は私だけでした。部屋の隅にコップを洗うことができるシンクがあり、その向かい、部屋の一角にトイレがありました。
トイレの場所は、みんなが仕事をしているデスクに近いのに、トイレ用の擬音装置などはついておらず、ほかの人がトイレットペーパーをガラガラと引っ張る音がよく聞こえていました。もっと生々しい音が聞こえることはなかったのですが、トイレを使用する際に発生してしまう音に、私はとても気をつかっていました。
この職場で初めての生理がきた日
そんな職場にきて、初めて生理がきました。私は替える頻度が少なくていい、たくさん吸収してくれるナプキンを着けて出勤。そして、何時間か経ったころ、職場のトイレでナプキンを替えようといざトイレに入ったのですが……。入って初めて、あることに気付きました。
それは、汚物入れがない!ということ!
私がくるまでその職場には男性しかいなかったため、汚物入れを置く必要がなかったのです。かといって、「女性がいるので、汚物入れを設置してください!」と言えるわけもなく、また、設置してもらったところで、みんながいるなかで汚物を回収して職場のゴミ袋に入れるのも恥ずかしい……と思ってしまいました。
結局は、お昼休みにナプキンを替えるために、汚物入れのある公共のトイレまで片道10分をかけて行くように。その職場には半月ほど一時的に滞在するだけだったので、なんとか耐えることができましたが、生理時のストレスは相当なものでした。
また同じ環境になったら、今度はどうする?
当時は我慢することしかできませんでしたが、数年経った今振り返ると、もう少しできることがあったなと思います。ナプキンを替える心配のない吸水タイプのサニタリーショーツを試したり、サニタリーバッグを用意したりと自分側でもっと工夫したり、周囲に理解を求めたり……。汚物入れも、短期間しかその職場にいなかったとしても設置してもらえばよかったなと思います。
生理に関して、不調になったり不快になったりするのを我慢することが、当時の私にとっては当たり前になっていましたが、「周囲を気にして、そんなに我慢しなくてもいいのではないか」と最近は思えるようになってきました。理解を求めるにはまだまだ勇気や体力が必要ですが、生理について話すことを恥ずかしいと思わないようになりたいです。
著者/cantabile_039c
イラスト/すうみ
監修/助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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監修/助産師REIKO
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