奥手そうな年上の彼にアプローチ
彼との出会いは、35歳のときに友人と参加した婚活パーティー。私は誰とでも積極的に話ができる性格で、このときも男性との会話は、ほとんど自分で主導しながら相手からエピソードを引き出し、話を進めていました。
そんななか、話すことが苦手そうながらも一生懸命に自分から話を振ろうとする男性がいたんです。その姿が新鮮で、思わず私からアプローチ! それが彼でした。
当時、彼は48歳。13歳という年の差があるため最初はお金目当てかと思われていたようですが、3回ほどお茶や食事をしながら、お互いに考えていること、今までの恋愛などについてオープンに話すうち、彼のほうから告白! お付き合いが始まりました。
交際は順調!でも1つだけ問題が
交際から1年が経ち、私たちは同棲を始めました。2人とも結婚の意思があり、価値観の擦り合わせもうまくいっていたので、すぐ結婚してもいいと思っていたのですが、一つだけ問題がありました。
それは苗字の問題。私にも彼にも、苗字を変えたくない、変えられない事情があったのです。
私の場合、あまり多くない苗字であること、名前とのバランスがとてもよかったことから改姓に消極的でした。それに、私と同世代の親戚がみんな既婚で改姓しているため、私まで変えてしまったら、今の苗字が途絶えてしまうのではという不安がありました。旧家というわけではないし、家族は「そんなこと気にしなくていい」と言ってくれるのですが、どうしても苗字を残せないことに家族や親戚に申し訳なさがあって……。
お付き合い当初は、次男である彼が私の姓になってくれる予定でした。しかし、彼のお兄さんが他県に生活基盤があり、今後も地元に戻ることはなく、母親の面倒も見られなくなってしまったとのことで、彼が長男としての役割を担うようになったため、苗字を変えたくないと言い始めたのです!
想定外のことでしたが、私としても自分が嫌なことを相手に強いることはしたくなかったので、「しばらくは同棲のままでいいかな」と考えていました。
「事実婚でも」と思っていたら…
こうして始まった2人暮らし。それでもお互いに子どもは欲しいと考えていました。そうして暮らすうちに「今は事実婚だけど、もし子どもを授かれたら親子関係において法律上面倒なことも出てくるだろうから、そうしたら私があなたの苗字になるね」ということに。しかしその一方で、「年も年だし、子どもができるには時間がかかるだろうな」と私は高を括っていたのです。
ところが、事実婚からわずか2カ月ほどで妊娠が判明したのです! そこで、話し合っていた通り、私が彼の苗字を名乗ることに。ただし「もし今後法律で夫婦別姓が認められるようになったら、姓を戻すね!」と彼に宣言して、婚姻届を提出したのでした。
いわゆる「デキ婚」の形になりましたが、子どもができなければ、今の法律が変わってくれない限り、彼とは一生結婚できないままだったかもしれないので、「おなかの子が結婚を後押ししてくれたのかな」と思っています。
ですが、世の中には子どもができても事実婚を続ける家族、お互いが改姓できずに別れを選ぶカップルと、さまざまな事情から改姓を負担に感じる方々がまだまだいるのではないかと思います。そんな人たちが少しでも多く、自分たちらしい自由な形で大切な人と一緒にいられる国になったらいいのになと強く感じました。
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文/かんだ のらさん