電話に対する考えの相違
結婚後にまずぶつかったのは、電話に対する考え方の違いです。夫は自分の妹と仲がよく、頻繁に連絡を取り合う仲なのですが……。
ある日、私と夫が深刻な話し合いをしているときに、妹から電話がかかってきたことがありました。そのとき、私と目の前で大事な話をしているにもかかわらず、夫は妹からの電話を優先したのです!
普段から夫が妹と仲がよすぎることに違和感を覚えることもあったので、目の前の妻より妹を優先されたことにさびしさを覚えました。そして、大事な話し合いをしているのだから、急ぎでない電話は後に回すべきじゃない?と言った私に対して、夫は「電話はすぐに出るものだ!」と強く言い放ち……。
その言葉にショックを受けつつも、私は「一緒にいたいなら、こんなことに動じないぐらい強くならなきゃ!」と思ったのです。
「自由にどうぞ」という返事にモヤモヤ
また結婚後は申し訳なさから夫に「友だちと会ってきていい?」「今晩は、からあげでいい?」など「~していい?」と確認することが増えました。そのときの夫の返事は、毎回「自由にどうぞ!」。なんだか突き放されたように感じてさみしい気持ちになりました。
「会ってきていい?」には「行っておいでよ! 楽しんできてね」や、「からあげでいい?」には「もちろん! 楽しみにしてる」など、「自由にどうぞ」と私に委ねるのではなく、夫の言葉を返してほしかったのです。
結婚当初はその夫の言葉にモヤモヤしていましたが、一緒にいる時間を重ねると、「自由にどうぞ」という言葉は、夫なりのやさしさなの思えるようになりました。この言葉は、全面的に私のすることを受け入れてくれる言葉だと思えるようになったからです。
相手の考えを認め合う
私から夫への不満ばかりになってしまいましたが、夫だって私に対して不満だらけだったと思います。夫に仕事について聞かれ、私の意見を伝えたときイラっとした表情を浮かべながら「(私)はそう考えるんだね!」と言われることがありました。そのうえ、夫は私の意見に何も反論しませんが、私の意見を聞いたあとに首をかしげる姿もよくありました。
そんな日常を繰り返すなかで、どうすればお互いにストレスないよう話し合えるのかを探り、今では一方的に不満を口するのではなく、お互いに「どう思う?」と意見交換することがベストだと辿り着きました。この方法で、今では相手の意見をストレスなく認め合うことができています。
すると、話し合いのなかで、夫は私にはない発想の意見をくれ、助けられることも多いと気づかされました。
たとえば、実家の愛犬が病気で亡くなったとき、私のなかにあふれてくるのは後悔ばかりで、悲しみの底にいたとき、夫が「どれだけ愛犬の世話をしても、誰だってなにかしら後悔はしてしまうもの。(私)はできるかぎり頑張ったよ。お疲れさま」と言ってくれたのです。この言葉に私はとても救われました。
これまでは、私が不満を言い、夫は反論せず、で話し合いは平行線のままだった私たち夫婦。しかし、長く一緒にいることで、解決策を探ることができ、さらにお互いを認め合えるようになるのだと実感しました。
過去の私は、夫婦で考え方が違うことに関して、ひとりでモヤモヤしては、「我慢しなければいけない」と思っていましたが、今では、その違いを冷静に話し合い、認め合うことができています。私にはなかった夫の考え方を知ることができるのも楽しいと感じるように。私にはない夫の考えに救われた経験も多いです。
はじめは冷たいなと感じた「自由にどうぞ」も、今では夫からの絶大な信頼を感じます。結婚当初は不満だった夫と妹の電話についても、緊急性は関係なく「電話には出るもの」という夫の主張を私は受け入れ、妹との電話を許容しています。夫婦で考え方が違うことは大きなストレスになることもありますが、互いに認め合えれば夫婦の形はよいほうに変えられることを実感しました。
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著者/マツノミユ