常に走り回る長男と手を焼く私
長男が歩き始めたのは生後11カ月のころでした。歩行が完全に安定した1歳半ごろからはスピードがどんどん速くなり、長男の移動は「歩く」から「走る」に変わっていきました。
長男は本当に落ち着きがなく、私が手をつなごうとしても強い力で振りほどこうとします。そのため、私は長男の横を、文字通り「並走」する毎日を送っていました。
長男は常にこんな調子で、いつ車道に飛び出して事故に遭うかわかりません。そのため平日に私ひとりで長男を公園に連れていくことは危険だと判断し、毎日のように子育て支援センターに通っていました。
発達相談員の先生に相談
そんなある日、その子育て支援センターに発達相談員の先生が来ました。私は正直「時期がくるのを待つしかない」というような答えしかもらえないだろうなと思いつつも、長男のことを相談してみることに。
私が「落ち着きがなくて困っています」と相談すると、先生は「遊んでいる様子を少し見させてください」と言いました。そこで私と長男はいつも通りしばらく遊んでいました。
数分経つと先生は「確かにそうですね。きっと◯◯くん(長男)は今いろんなことに興味があって、遊びが転々とするのでしょう」と。私は「やっぱりそうか」と思いつつ、それ以上のアドバイスは期待していませんでした。
先生の口から出た思いがけない言葉
しかし先生はこう続けました。
「でもねお母さん、◯◯くんを見てください。◯◯くんずっとニコニコしているでしょう? この笑顔はお母さんからもらったんですよ。お母さんが笑顔だから◯◯くんも笑顔なんですよ」と。
私はまさかそんなことを言ってもらえるとは思っておらず、思わず泣きそうになったのを今でも覚えています。母親である私のことまで気にかけてくれた先生の心づかいに感動したのです。
結局、長男に落ち着きが出てきたのは2歳半になってからでした。言葉や社会性の発達が遅いことに多少の不安はあったものの、私は先生に言われた言葉を心に支えにし、長男のタイミングを待つことができました。
今は当時住んでいた土地から引っ越してしまい、その先生に会うことはもう叶いません。ですが、「先生の言葉に勇気づけられました。ありがとうございました」とお礼を伝えたいです。これからも子育ての悩みはたくさん出てくると思いますが、そんなときでもできる限り笑顔を忘れずにいようと思わせてくれた言葉でした。
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監修/助産師 松田玲子
イラストレーター/山口がたこ
著者:今岡めい
6歳と4歳の超わんぱく兄弟を育てるママであり、フリーライター。「子育てで一番大切なのは母親が笑顔でいること」「幼児期最大の英才教育は遊びである」をモットーに掲げ、日々テキトー育児を繰り広げている。