前回は「家計簿をつけない家計管理」のお話をしましたが、家計の基本は毎月の収入の範囲でやりくりすることです。家計のやりくりができるようになったら、次は貯金ができる家計を目指しましょう。
「家計はある程度管理できて赤字ではないけど、貯金がなかなかできない」と言った声を聞くことは多く、金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査』(2015年・二人以上世帯調査)によると、金融資産(預貯金・有価証券等)を保有していない世帯が30.9%との結果が出ました。
今回は、少しでも貯金できるようなヒントを2つお話します。
1.毎月決まった金額を強制的に積み立てしましょう
家計管理は前回の内容でもお伝えした、収入-支出=貯金でなく、収入-貯金=支出という考え方を基本としていただきたいのですが、支出の前に貯金ができるようにするためには、使う前に強制的にお金を貯める仕組みをつくることです。
勤務先で、“社内積立”や“財形貯蓄”ができるところは、給料が口座振り込みされる前に積立ができるので、自然とお金が貯まっていきます。勤務先での天引きができない方は、銀行などで毎月決まった金額を積み立てる“自動積立定期預金”※1を活用して、生活口座とは別の口座に強制的に貯まる仕組みをつくりましょう。
純金・プラチナや投資信託の毎月積立、かけ捨てでない生命保険で積み立てる方法もありますが、これらは元本保証が原則なく解約するときは、元本より増える可能性も減る可能性もあるので、10年以上先に使う目的での積立や余裕資金で積立をするのが一般的です。
ある程度の金額が貯まるまでは、元本保証のある“財形貯蓄”や“自動積立定期預金”を中心に貯めるといいでしょう。
※1:金融機関によって名称が異なります。毎月決まった金額を自動的に積み立てする預貯金のことです。
2.毎日のおつりや小銭を貯めましょう
お金を貯めていくには、自動的にお金を貯める仕組みをつくって、お金を使いたいと思ったときにすぐにお金を使えない状況にし、衝動買いや無駄遣いを防ぐのがひとつの考え方です。
しかし、強制的にお金を貯めるのが苦手な方は、日々のお買いもので残ったおつりや一日○円と決めて小銭を貯める方法がおすすめです。また、割引価格やポイントで買ったものの金額と定価との差額を貯金する方法もあります。
貯金が苦手な方のひとつの傾向として、お金が貯まっている実感が湧かないから貯金できないということがあります。おつりや小銭などをガラス瓶や貯金箱等で目に見える形でお金を貯めれば、お金が貯まっている実感が湧くので、続けられるという方もいますので、ひとつの方法としてご検討ください。
しかし、かんたんに取り出せるので、使ってしまわないようにしましょう。また、盗難に遭っても保障はないので、ある程度金額が貯まったら口座に移すなどの工夫も必要です。
貯金0円という状態をなくそう
本来の家計管理は、将来に向けてのライフプランニングを設定したうえで、貯金の時期や目標額を設定することが一般的です。ところが、家計管理や貯金が苦手な人に多くのことを一度にすすめても長続きしないことが多いので、前回と今回のコラムでかんたんな家計・貯金についての基本的な考え方をお伝えしました。
一時的な出費で短期間貯金が0円になるのはやむを得ないにしても、常に貯金が0円という状況は、お子さんやご家族のためにも、改善するようにひとつでもできることから始めていただければと思います。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。