育児の不安を誰とも共有できない孤独
産後の入院時は看護師さんや助産師さんのアドバイスを受けて、わからないことも不安に思うこともすぐに解決できました。しかし、退院してからは周りに知り合いもおらず両親も遠方のため、誰からもアドバイスを受けることができませんでした。
小さな変化や不安を解消することができず、息をしているのか、ミルクが足りているのか、部屋の温度湿度は大丈夫か、おしっこの量は少なすぎないか、この症状はなんだろう……。そう悩んで携帯とにらめっこしながら、なんとかひとりで新生児と向き合っていました。
唯一頼れる夫へ助けを求めると……
仕事をして私たちの生活を支えてくれている夫のことはわかっているけれど、自分のことはすべて後回しにして小さい命をひとりで守っている私の不安もわかってほしい。そう思いながらも、仕事から帰ってきたらまず自分のことを済ませ、私の話もそこそこに仕事の愚痴を吐いて寝てしまう夫に、疲れているだろうからと何も言えず、ワンオペ生活を繰り返す毎日でした。
また、義両親が近くにいるものの、余裕がないなかで義両親に気を遣うことにも疲れてしまい、実の両親へ甘えるように頼ることはできませんでした。
そうして過ごしていた生後1カ月ごろ。何をしても夜泣きがおさまらず、寝不足やストレスがピークになっていた私は、たまたま起きてきた夫に「助けて」とお願いしました。
ところが、返ってきた言葉は「疲れているからムリ」でした……。
ひとりで育てる決心
ムリと言い放ち、本当にそのまま寝てしまった夫に苛立ちと怒りと悲しさで涙が出てきました。しかし、そんなことはおかまいなしに泣き続ける子どもを見て、助けてもらえないならひとりで育てるしかないと決心し、気持ちが吹っ切れたのを覚えています。
夫はいないものとし、会話もなくなり離婚も考えましたが、子どもがなんとか繋いでくれていました。ワンオペに対する不満や、わかってもらえない苦しさを意識すると心が折れてしまいそうになります。そのため、子どもが生きていればいいという気持ちで壊れそうな新生児時期を過ごしました。
生後3カ月が過ぎるころには育児にも少し慣れ、赤ちゃんの爆発的なかわいさに癒やされながら過ごしました。夫と育児の不安や喜びを共有できないのはとてもつらいですが、子どもの笑顔も成長もちょっとした一瞬も私のもの、という意地悪な気持ちを持てたのがよかったのかもしれません。
著者:斎藤なおみ/女性・主婦。4歳のひとりっ子園児の母。知人のいない夫の地元で、義実家と敷地内同居をしながら子育てに励む。好きな言葉は「大丈夫」「しょうがない」。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています