普段と変わらない朝
それは新社会人として働き始め、数日が経ったある朝のことでした。家から職場まで車で1時間以上かかるため、毎朝6時前に起床し、7時に家を出るというハードな生活にもやっと慣れてきたころ。
あとで思い返すと、身支度中に下腹部に違和感があったような気がします。しかし社会人になりたてで、とにかく遅刻は絶対にしないこと・先輩より早く職場に着くことに意識を集中させていた当時の私は、その違和感が生理前の腹痛であることに気が付きませんでした。
運転中にあの感覚がやってきた
予定より早い時間に家を出ることができて安心した私。車を運転し始めて10分ほど経ったときのことです。足の間に違和感を覚えました。
「なんだか湿ってる……?」普段より多いおりものだろうかとはじめは気に留めませんでしたが、車を進めるごとに違和感がどんどん増してきます。嫌な予感がし、近くにあったコンビニの駐車場に車を停めました。そこで恐る恐るおしりを浮かせてみると、座席に置いたクッションが、真っ赤に染まっていたのです。
時間との闘い
この日は生理予定日の2週間以上前であり、ナプキンは持っていませんでした。しかもクッションに血が付くということは、もちろん下着やズボンも汚れているということ。家に帰って服を着替えなくてはいけません。でも、そんなことをしていたら遅刻してしまうのでは?と頭が真っ白になりました。
家に帰るまで車で10分、着替えるのに5分、家から職場まで1時間、間に合うのか? いや、間に合わせるしかない!! そこからは無我夢中でした。急いで帰宅し着替え、ナプキンを準備して職場へ。朝、余裕を持って出発していたため、何とか遅刻せずに職場に着くことができました。
生理周期が規則的だからと、ナプキンを持ち歩く習慣がなかった私。まさか社会人になってすぐに、生理周期が乱れるとは思っていませんでした。
学生から社会人になるという大きな環境変化で体がストレスを感じ、ホルモンバランスが崩れたのかもしれません。女性の体は繊細であることを学び、それ以降は常にナプキンを持ち歩くようになりました。
著者/井上栞里
イラスト/塩り
監修/助産師 松田玲子
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