習っていた当時は好きではなかったピアノ
3人きょうだいの末っ子だった私は、小中学生のころ、ピアノのほかに2つ習い事をさせてもらっていました。当時の私はピアノ以外の習い事のほうが楽しく、ピアノの練習はおざなりにしていました。発表会の時期だけ頑張って練習をし、なんとかその場をしのいでいたのです。それでも成長とともに上達はしたので、小中学校では式典のピアノ伴奏を任されることも。ですが、レッスンに行くのがどんどん苦手になってしまい、高校受験のタイミングでピアノをやめました。
それから約20年後、36歳で第一子を出産し子育てがスタート。末っ子だった私は兄2人に遊んでもらうことはあっても、下のきょうだいの遊び相手の経験がありませんでした。そのため、わが子のあやし方も不器用で、思うようにコミュニケーションが取れないと感じていました。
そこで私が力を入れたのは、絵本の読み聞かせと歌を聞かせること。手がふさがっていても歌うことはできるので、乳児期は子守歌をよく歌っていました。海外や日本の子守歌などが網羅されたCD付きの本を買い、歌詞もすべて覚えて、子どもに聞かせて育てました。そのかいあってか、子どもは音楽がとても好きになりました。
子どもと一緒に音楽を楽しむことへの憧れ
子どもが幼稚園に入った40歳のころ、うたのおねえさんやおにいさんが歌って踊る子ども向け番組を、毎日楽しく見ていて、「私もあんなふうに歌って子どもを楽しませたい!」と憧れ、番組をまねて歌っていました。また、成長した子どもが、ピアノの鍵盤付きの本で童謡を弾く姿を見ては、ほほ笑ましいなぁと思っていました。
そして、子育てが落ち着いてきた43歳のころ、「ピアノがあったら楽しいだろうな。季節のイベントソングを弾いて一緒に歌ったり、誕生日の歌を弾いてあげたりしたら喜ぶだろうな」と思うように。ですが、自分が好きになれなかったピアノを子どもには習わせなかったので、習っていないのにピアノを購入するのをずっとためらっていました。
そうして3年がたち46歳になり、コロナ禍でおうち時間が増えたときのことです。もうすぐ10歳になる子どもに、何か記念になるプレゼントをしたいと考えました。そして、ピアノをプレゼントするのはどうだろうかと夫に相談。きっと喜ぶだろうし、私ももう一度、子どものためや自分のために楽しくピアノを弾いてみたい……と伝えました。単身赴任の夫も、「うん、良いね!」と賛成してくれました。
久しぶりに弾くピアノが自分の生きがいに
そして昨年末、念願の電子ピアノを購入。本格的なピアノではないものの、ピアノ経験者の私が弾いても本物と遜色ない弾き心地と音色でした。子どもはとても喜んでくれて、自分のピアノをうれしそうに弾いていました。そして私も約30年ぶりに弾いてみると、昔とは違った感情が湧いてきました。アドリブでディズニーアニメの主題歌や好きな歌手の歌を弾いていると、演奏することが心から楽しいと思えるように。
思えば1年ほど前から、推しである藤井風さんの動画配信を見ていた私は、遊ぶようにピアノを弾き、息をするように歌う姿に深い感銘を受けていました。その影響もあり、音楽の楽しさを再び味わってみたいと強く思うようになったのかもしれません。
また、初めて家族の前でピアノを披露する私の姿に、夫と子どもが感心している様子でした。家族がそんな気持ちになれたのも、30年ぶりにピアノと再会したおかげです。今では、子どもは好きなアニメソングを、私は推しであるMISIAさんや藤井風さんの楽譜を購入して、日々練習しています。今回ピアノを購入してみて、日々の隙間時間にピアノで気分転換をすることが生きがいだと思えるようになりました。
まとめ
この執筆をするにあたり、「音」を「楽」しむと書いて「音楽」という言葉になっていることに気が付きました。子どもと一緒にピアノを弾いて歌ったり、好きな歌手の歌を聴いたり演奏したりもできる音楽は、以前とは違った形で私に喜びを与えてくれています。それらをより一層楽しくしてくれたピアノは、家族の絆も深めてくれる大事な存在です。
これからも、ピアノを弾くことを自分らしく楽しんで、時には誰かのために演奏してあげられるようになりたいです。30年ぶりにピアノと出合い、弾くことの喜びを味わうことができて心からよかったと思いました。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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著者:あめあがりのにじ
映画と音楽をこよなく愛する小学生女児の母。娘とお互いの推しを応援することが楽しみ。 心と体のアンチエイジングをゆるりと実践中。座右の銘は「雨垂れ石を穿つ」。