「子どもの教育費の準備で、学資保険に入ったほうがいいのですか?」というご相談を多くお受けします。学資保険は教育費準備の方法としてひとつの選択肢ですが、すべてにおいて優れているわけではありません。そのため、ご自身にあったものかどうかご判断のうえ、加入を検討してみましょう。
学資保険はどんな保険?
こども保険などの名称の保険会社もありますが、学資保険は、毎月(1年毎や半年毎も可能)保険料を支払い、子どもがある年齢になったらお祝い金や満期保険金などの名目でまとまった金額を受け取ることができる保険です。お祝い金や満期保険金の受取時期は、小・中・高・大学入学時期の複数回にわたるものや、17歳または18歳に一度に受け取るものなど、プランもいくつかあります。
学資保険の主なメリット
学資保険の主なメリットは以下の3点です。
1. 毎月決まった金額を強制的に貯めることができる
毎月口座振替や給与天引きなどで保険料が支払われ、普通預金などとは別の場所に貯めることができる。生活費などと混在して、教育費が貯まっていない状況を防ぎます。
2. 満期まで継続すれば、現在の定期預金を継続するより多くの金額が戻ってくる
保険会社やプランにもよりますが、2016年10月時点での学資保険は返戻率が105~110%程度になるものもあります。ネットバンクの定期預金で高金利のものを選んでも年利0.2%程度なので、18年積み立てた場合の返戻率は税引き後で101.5%程度となります。
3. 親の死亡時には、保険料を払わず貯蓄が継続できる
保険の機能が小さいものでも、保険料を支払っている親(契約者)が満期を迎える前に亡くなった場合、満期までの保険料が免除されるものがほとんどです。たとえば、毎月1万円保険料を支払っている親が、子どもが10歳時点で亡くなっても、その後の保険料は支払わなくても、お祝い金・満期保険金は予定通り支払われます。
学資保険の主なデメリット
学資保険の主なデメリットは以下の3点です。
1. 満期を迎える前で解約すると元本割れする可能性が高い
預貯金とは異なり、満期まで継続する前提の保険ですので、満期を迎える前(とくに加入してあまり年数が経過していない時期)に解約すると元本割れします。
2. 加入時の利回りに固定されてしまう
学資保険は長期の契約なので、手続き時点の利回りに固定されてしまいます。今後の金額の推移が決まっているので分かりやすい反面、将来金利が上がってもそのメリットは受けられません。
3. 預貯金とは異なるルールの影響がある
学資保険は預金と異なり生命保険の一種ですので、親の健康状態が悪い場合は加入できない、加入時の子どもの上限年齢が決まっている、預金保険の対象とはならない(生命保険契約者保護機構で大部分は保護されるものの全額保護はされない)などの生命保険のルールの影響を受けます。
まとめ
メリット・デメリットから考えると、信用できる保険会社で確実に積み立て、途中で解約しない前提であれば、預金より学資保険で教育費を準備するほうが多くの金額を準備する結果になる可能性が高いです。
中途で解約する可能性がある人や決まった金額を積立できない人は預貯金で、固定された利回りでなくある程度リスクを取って、外貨や投資信託などで運用できる人は別の方法で教育費を準備する方法もあります。学資保険以外の積立方法については、“こどもができた!教育費用はどうやって確保する?” に詳細を載せています。
積立の方法に絶対はありませんので、ご自身の考え方に合った積立方法を実践しましょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。