こんにちは、小児科医の保田典子です。急に暑くなったり、涼しい日があったりと、体温調節が難しいですね。暑くなってくると心配なのが熱中症。今回はマスク生活における熱中症についてまとめてみました。
5月末から熱中症に注意しましょう
熱中症は暑さが厳しい7~8月のイメージですが、まだ体が暑さに慣れていない今の時期も熱中症は起こりやすくなっています。今年も、すでに乳幼児の熱中症が報告されています。
熱中症は例年、梅雨入り前の5月ごろから発生し、梅雨明けの7月下旬から8月上旬に多発する傾向にあります。総務省消防庁によると、昨年は令和3年5月31日から、6月6日までの間に、全国で638人が救急搬送されており、そのうち7歳未満の乳幼児は3人、7歳以上18歳未満の少年は139人。真夏でなくても注意が必要です。
子どもが熱中症になりやすいワケとは?
子どもは、体の中の水分の割合が大人よりも高く、背が低いため地面から受ける輻射熱(ふくしゃねつ/遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱のこと)の影響を受けやすいため、大人よりも熱中症のリスクが高くなっています。
一般的に、地面に近いほど地面からの輻射熱は高くなります。子どもは大人に比べて身長が低いため、大人よりも地面から受ける輻射熱は高温となります。
東京消防庁によると、たとえば東京都心の気温が32.3℃だったとき、幼児の身長である50cmの高さでは35℃、さらに地面に近い5cmの高さでは36℃以上でした。35℃ってほぼ体温ですよね。ただでさえ暑いのに、子どもたちはさらに暑く感じているということです。
また、肥満の子は熱中症のリスクが高いです。学校管理下で発生した熱中症死亡事故では、肥満が大きな要因であることが指摘されています。ぽっちゃりしている子は、より熱中症に注意した生活を送りましょう。
熱中症のリスクと状況に応じてマスクは取りましょう!
夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなるおそれがあります。熱中症の主な症状である「発熱」は、コロナの症状でもあるため、コロナ禍での発熱による救急搬送は思いかげず時間がかかったり、煩雑になってしまうことがあります。コロナを恐れるあまり、必要のないところでマスクを着用するのは避けた方がいいでしょう。
夏場は熱中症のリスクを考慮し、マスクが必要ない場面ではマスクを外しましょう。鬼ごっこのような密にならない外遊びなどのときも外してOKです。
マスクをつけるべきではない人、状況
・2歳未満の乳児にはマスクはやめましょう(2歳以上でも適切につけられない場合はかえって逆効果です。お子さんそれぞれの発達や体調に合った使い方をしてくださいね)
・2歳以上の就学前のお子さんは、他社との距離に関わらずマスク着用を一律に求めていません。保育園や幼稚園の登下校時など、他の人と接触しないときなども外して大丈夫です。
・就学児のお子さんは、プールや体育館での体育の授業、運動部の部活活動や登下校の際もマスクは必要ないとされています
マスク着用時の注意点
・激しい運動は避けましょう
・のどが渇いていなくてもこまめに水分を補給しましょう
・気温・湿度が高い時は特に熱中症に注意しましょう
・保護者や周りの大人が、子どもの体調に注意したうえで着用しましょう
環境省と厚生労働省が発表した「新しい生活様式」での熱中症予防のリーフレットも大変参考になりますので、ぜひ見てみてください。
TPOに応じたマスク生活を!
海外ではマスクを取っていく方向にありますが、日本はマスクの定着度が高いためかコロナ感染も海外に比べてとても少ない傾向にあります。インフルエンザも、手洗いうがいや手指消毒意識の高まり・マスク効果のおかげなのかほとんど流行らないで2年がすぎていますし、マスクは感染予防効果があると考えていいでしょう。
とはいえ、屋外で人と密にならないところでのマスクは不要です。特に、夏は熱中症のリスクも高いので、屋外で人と喋ったりしないときは大人でもマスクを外しても問題ないと言えます。(私も公園で誰とも話さないときはマスクを外していました。そうじゃないとすぐ頭痛がして熱中症っぽくなってしまったので)
マスクをするときは適切に着ける、感染リスクが低いところで外してしっかり水分をとって熱中症予防する、というメリハリのきいた生活にしていきましょう。