彼は仲のいい同期のひとりだった
彼と出会ったのは、お付き合いを始める5年ほど前。新卒で入社した会社の同期会で知り合いました。のちに8人ほどのグループで仲良くなり、週末に飲みに行ったり、休日にみんなで旅行に行ったりするように。このときはお互いに交際していた相手がいて、もちろん恋愛感情はありませんでした。
よく集まるようになってから何年か経ち、お互いに恋人と別れてフリーになっていたタイミングで、彼からデートに誘われました。これまで仲良く遊んでいた友人のひとりという意識だったので、正直、驚いた私。友人としての関係が崩れてしまうかもしれないという怖さもありましたが、デートは想像以上に楽しく、最初のデートですぐ、意気投合したことを覚えています。
価値観も考え方もすべて合う!最高のパートナー
付き合う前から、彼の誠実な人柄がとても素敵だと思っていた私。デートを重ねて彼のことを知っていくうちに、ものの考え方や大切にしていること、価値観や感動するポイントなどが私とまったく同じだということがわかり、心の底から驚きました。
あまりにすべてのことが合いすぎて、「なぜもっと早くに付き合おうと思わなかったのか不思議だね」とお互いに笑い合ったほど。私の考えや想いもすべて尊重してくれて、「この人以上の人はもういない……」と運命を感じ、お付き合いがスタートしました。
しかし、のちにある大きな問題が私に降りかかることになるのです。
あれ? 手がつなげない…
最初に違和感を覚えたのは、付き合ってすぐに彼と手をつないだときでした。
彼のことは大好きなはずなのに、抵抗がある……。たとえるなら、兄弟や親と手をつないでいるような違和感でした。家族と手をつなぐことは、幼いころなら普通かもしれませんが、大人になってから兄弟や父親と恋人つなぎをするとなったら、少し変ですよね。そのような感覚でした。
最初はその違和感を無視していましたが、彼とデートを重ねるうちにだんだんと違和感が強くなってきて、「彼に触れるのも、触れられるのも無理」と思うように。当然キスにも抵抗があって、”手をつなぐ”から先に進むことができません。
彼はそれでも私の気持ちを優先してくれ、違和感について話をしたときも受け入れてくれました。私の気持ちが変わるまで待つとも言ってくれましたが、そのやさしさすらも、つらくなってきてしまった私。
何回も話し合いを重ねた末、私たちは別れを選ぶことになりました。
友人に嘆くと…
のちに、別れてしまったことを友人に嘆いたとき、こう言われました。「あまりにもすべての価値観が合いすぎていたのなら、きっと家族並に遺伝子レベルが近かったのではないか」と。
動物のなかには、親と子がすぐに離れ離れになってしまうことがあり、たまたま出会ったときに惹かれ合ってしまわないよう、本能的に拒絶するようインプットされていると、あるマンガに書かれていたそうです。私と彼は、それに似た関係だったのかもしれません。
世の中にはきっと、こういった状況でも先の幸せを見据えて結婚できる方もたくさんいると思います。しかし、私は彼と幸せになる未来が思い描けず、残念な結末に終わってしまいました。
今思えば、当時は30歳目前。将来安泰な相手と結婚したい! と、結婚そのものに固執しすぎていたような気もします。
この体験を経て、次は恋愛できる相手とお付き合いしようと心に誓い、今の夫と結婚に至った私。彼も別の相手と結婚し、お互いに幸せな人生を送っています。
著者/滝沢夏海
作画/こいでちゃこ
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