こんにちは。小児科医の保田典子です。夏休みを目前にして急激に感染者数の上昇をみせる第7波。私のクリニックの周りではコロナの子も増えていますが、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、溶連菌、手足口病など、さまざまな感染症が流行っていて、コロナだけが主に流行していた第5波と違った難しさで診療を行っています。
2022年夏のコロナ状況
今年の夏のコロナ状況でもっとも去年と違うところは、やはり小児にも感染が多いところに尽きるのではないでしょうか。ワクチンが去年より普及しているので、重症度が昨年の夏よりは下がっていることも違いです。
次々に変異株が出てきていますが、基本的にはオミクロン株とほぼ同等の重症度ではないかと考えられているようです。現在(7月中旬)BA5株が半分以上を占めていますが、おそらく早期にこの株に置き換わっていくのではないでしょうか。
ワクチンは重症化予防としての位置づけになってきていますが、3回目接種終了した人に対しては変異株でも重症化予防は期待できそうです。
12歳未満の小児については、接種率が低くて私の実感では何とも言えませんが、重症化予防はきちんと認められています。ワクチン接種していない子は、軽症の診断でもかなりつらそうな子が多いので、ワクチン接種を考えていただけるといいでしょう。
ほかに夏に気をつけたい感染症
最初にも書きましたが、「夏風邪」と言ってもいろんな病気があります。全国的にはRSウイルスが一番流行しているようです。
RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス
どちらも咳や鼻水など気管支炎や肺炎になりやすい感染症です。特にRSウイルスは年齢が小さければ小さいほど喘鳴などがひどくなりやすく、入院リスクも高くなります。逆に、小学生以上の子は軽症のことが多いです。
アデノウイルス
高熱が長く続きやすいウイルスです。たくさんの型があり、型によっても病状は違いますが、咳は少ないこともあり、咽頭痛や鼻水が多い症状です。
溶連菌
咳鼻水はほとんどなく、咽頭痛や腹痛、発熱、発疹がメインです。抗菌薬がとても良く効く感染症です。
手足口病
咳鼻水はやはりなく、咽頭痛、喉、手足の発疹、発熱が症状です。
溶連菌以外は特別な薬は必要ないので、基本的には家で療養していれば治る病気です。お子さんの病状によって病院に相談していきましょう。また、手足口病以外は診断キットがありますが、誰にでも使えるものではないので、検査は医師の判断に任せましょう。
夏場のマスクは熱中症の危険大、お子さんへ着脱の声かけを!
基本的な感染対策は、コロナが始まってから変わっていません。三密を避けて、手洗いうがいをしっかりすることが大切です。マスクは必要な場所で、きちんと装着すると感染予防効果が高いでしょう。
暑い日に屋外でマスクを着用すると、熱中症の危険性が高まります。特に未就学児の場合、「特に夏場については、熱中症予防の観点から、屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すことを推奨します」と厚生労働省も発表していますので、マスクの着脱については親御さんが声をかけてあげるといいでしょう。
コロナ禍での夏休み、どう楽しむ?
遊びや様々な経験は子どもの成長にとってとても大切なものです。感染対策に留意しつつ夏休みを楽しんでもらいたい、というのが私個人としての見解です(ここに関しては医師によっても意見が分かれると思います)。
夏休みなどお休みの日の遊びとしては、屋外での活動がオススメです。キャンプなどの屋外レジャー施設へ行かれる方も多いのではないでしょうか。共用のトイレなどを使ったら、しっかり手洗いを心がけましょう。
屋内の施設へ行く場合は、密になりすぎない所を選べるといいですね。子どもはいろんなところを触りやすいので、こまめな消毒をするといいでしょう。ただ、接触なども気をつけた方がいいですが、一番感染リスクが高いのは食事中などマスクを外すシーンですので、特に気をつけていただきたいと思います。
わが家はコロナの前から屋外遊びばかりですが、年齢も上がってきたので今年は史跡めぐりをしたいなと考えています。コロナ禍で大切な子どもの2年間を我慢させて過ごしてしまったので、今年は感染に留意しつつ、子どもたちと思い出を作れたらいいなと思っています。