私の中のおでんの位置付け
私の実家でも、おでんはおかずのひとつとして白いごはんとともに出されていました。しかし、母が作ってくれるおでんは薄めのお出汁であっさりした味付け。なんとなくごはんには合わないなと、子どもながらに思っていました。
そのため、ほかに出されたおかずと白いごはんを食べるようにし、おでんは単体で食べていた私。おでんは私にとって嫌いではないけれど、特に好きでもないという存在だったのです。そのためか、結婚して料理をするようになっても、私が好き好んでおでんを作ることはありませんでした。
夫が作ってくれたおでんに感動
ある日、台所からお出汁のとっても良い香りがしてきました。料理好きの夫が夕飯におでんを作っていたのです。覗いてみると、おでんってこんなに濃い色だったかな? と思うほど、私のイメージするおでんのつゆとはかけ離れた色をしていました。
そして「今日のおかずだよ」と言って、夫はおでんを食卓に出しました。夫が作ってくれたそのおでんは、しっかりとした濃いめの味付けで、ひと口食べてみると「おでんってご飯のおかずになるんだね!」と、そのおいしさに感動するほど。ご飯とも合うし、大好きなお酒のおつまみとしても最高です。
そのうえ、今までおでんの具として食べたことがなかったロールキャベツやタコ、ベーコンなどが入っていて、夫特製のおでんはとても具だくさん! 「どれを食べようかな?」と、食べるワクワクもありました。
好きな食べ物ランキング上位に!
夫が作ってくれたおでんを食べてから、おでんは私の大好物になりました。夫が買い物で練り物や大根をカゴに入れると、「今日はおでんだね!」とうれしくなるほどです。
白ごはんのお供に、ほかのおかずが欲しくなることもなくなり、おかずはおでんだけで大満足! むしろ、おでんをたくさん食べたいから、ほかのおかずは何もいらないと思うように。
今では子どもたちもたくさん食べるようになったので、夫にはもっと大きなお鍋でおでんを作ってもらいたいと思い、私は密かに大きい鍋の購入を企んでいます。
調べてみると、おでんは地域や家庭によって味付けや入れる具材が大きく異なる、ということがわかりました。世の中にこんなにおいしいおでんがあったなんて……出会えて幸せです。違う環境で育ってきた夫と生活を共にすることで新たな発見があり、好きなものが増えていくことに結婚の喜びを感じた出来事でした。
著者/大岡むぎ
イラスト/かたくりこ
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!