たくさん歩きたい娘とお散歩
私の娘は1歳半を過ぎたころ歩くことに慣れてきて、とにかくたくさん歩きたい、あちこち歩き回りたいという時期でした。家の中では狭いので、私と娘は毎日のように公園や児童館などへ行きお散歩。広いところを歩く娘は本当に楽しそうで、私も成長を感じうれしくなりました。
なるべくいろいろな景色を見せてあげたいと思い、次はどこへ行こうかと考えることも楽しみのひとつに。そんなある日、近くの駅の広場を歩いていると、突然40~50代ぐらいの女性に話しかけられました。
お友だちいないんでしょ?
その女性は1枚のチラシを私に差し出し、「ひと駅向こうでやっているから、よかったら来てみてね」と言いました。チラシに書かれていたのは、とある子育てサロンの案内。私はその子育てサロンのことを知らなかったので、「初めて知りました、ありがとうございます」と言ってしばらくそのチラシを見ていました。
するとその女性は、「こんなところで遊んでるなんて、お友だちいないんでしょ? ここに来たらお友だちいっぱいできるからね」と言ったのです。
見知らぬ人の言葉に驚いた私は……
「お友だちいないんでしょ?」という言葉を向けられたのは、娘なのか私なのか、もしかしたら両方だったのかもしれません。たしかに友だちと呼べる人は少ないけれど、公園や児童館でよく一緒に遊ぶ人たちや、お互い子連れでよく会う学生時代からの友人もいました。
私たちがいたのは遊具も何もない広場で人通りも少ないところでしたが、安全な場所を選び歩くことを楽しんでいただけ。何より、今ここで初めて会ったばかりの人にそんなことを言われるなんて、と驚き、返す言葉が見つからず……。私は「そうですね、ありがとうございます」と言って娘とその場を去りました。
街で子どもと一緒にいると、本当にさまざまな人に話しかけられます。この女性は子育てサロンの良さを伝えるために何気なく言っただけかもしれませんが、私はとても嫌な気持ちになりました。結局その子育てサロンへは行っていません。私も誰かと話すときは言葉に気をつけようと思った出来事でした。
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著者:斉藤 ひかり
7歳女児、4歳男児の母。転勤族。結婚前に音楽業界で働いていた経験を生かし、主に音楽・エンタメ・子育て関連の記事を執筆中。
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