宿泊先で下腹部痛に襲われ…
妊娠22週目のある夜。その日は用事があり、とある県のホテルに夫と宿泊していました。疲れて早めにベッドに入ったのですが、23時ごろ、下腹部に生理痛のような痛みを感じて目を覚ましました。
当時の私は妊娠・出産に関して知識が不十分だったと思います。その痛みが危険なものであるとは思わず、「いったん眠って様子を見よう」と考えました。しかし痛みはだんだん強くなり、ついに横で寝ている夫を起こして夜間救急病院へ行くことにしたのです。
まだ22週目なのに陣痛!?
病院に着いて熱を測ると、37度台前半。私だけ診察室に入りました。どのような会話があったか記憶はあいまいですが、診察を始めてすぐに先生の口から「陣痛」という単語が何度も出てきて、衝撃を受けました。このとき初めて、下腹部痛が陣痛であることを知ったのです。
子宮口も1cm開いていること、陣痛を止めるための点滴を開始すると説明がありました。まさか陣痛だとは思っていなかったので、「そういえば、痛みは出たりおさまったり、一定の間隔であったかも……」と気付いたのもこのときでした。
まるでドラマのような展開
夫も呼ばれて説明を受け、先生は受け入れ先の病院を探して電話をかけ始めました。「そうですか……難しいですか……」。先生が電話を切り、また次の電話をかけるのを見ながら、「まるでドラマみたい……」などとやけに冷静に考えていたのを覚えています。
何度目かの電話で受け入れ先が決まり、私は救急車で運ばれることになりました。高速で1時間ほどの距離。なんと診察してくれた先生は、点滴の袋を持って一緒に救急車に乗ってくれたのです。道中も励ましの言葉や、何気ない会話で落ち着かせてくれて心強かったです。
そのまま出産することに
そうして運ばれた病院で、出産は先延ばしにできないことがわかり、その日の夕方に450gの長女を出産しました。ついて来てくれた先生は、引き継ぎを済ませるとすぐに戻ってしまったようで、名前もわかりませんでした。
夜間救急に行ってから分娩が終わるまで約20時間。下腹部痛を感じたときは、そこからまさか出産になるなんて思いもしませんでした。私、そしておそらく夫にとっても、人生で最も大変で衝撃的な1日になってしまいました。
出産時も生まれたあとも、たくさんの人に助けられて今元気に生きている娘。受け入れ先の病院を探し、一緒に救急車に乗って励ましれくれた先生のことは忘れられません。いつか出産した県を再び訪れることがあれば、「先生のおかげで、あのときの赤ちゃんはこんなに元気に成長しています!ありがとうございました」と伝えたい……、ずっとそう思っています。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:青倉みゆ/女性・主婦。小2長女、年中長男、3歳次女の3児の母。趣味の文房具集めと宅トレで自分を癒やしつつ、実家から離れた土地で子育て中。450gで生まれた長女は、現在元気な小学生。
イラスト:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています