その後もいくつか住み込みの仕事ができる職場を転々とし、実家に帰ることは二度とありませんでした。
そんななか、ある建設会社でM美さんが働いているところをパパが見かけました。
アリの行列を避けて荷物を運んで積んでいるM美さんに感心したパパ。
数日後、初めてM美さんに話しかけ、自己紹介するパパでしたが……?
警戒していたのにいつの間にか…
パパから渡されたジュースを警戒しながら飲んでいると……
「先日もお見かけしたんです。アリを避けて荷物を積んでいましたよね? すごくやさしい人なんだなぁって、僕感激しちゃって!」
無邪気に笑顔で話すパパ。
そんなパパを見て、M美さんは思わずジュースを吹き出しそうになりながら、
「全ッ然! やさしいとかじゃなくて!」
と慌てて否定しました。
小さいころにアリを食べていたから、今は殺さないようにしてる……なんて絶対言えない……。
そんなことがきっかけで、並んでジュースを飲みながら話をするパパとM美さん。
M美さんの行動をひとつひとつ褒めてくれるやさしいパパに、M美さんは自分とは大違いだと思ってしまいます。
M美さんに会うたびに声をかけ、飲み物を渡してくれるパパでしたが……?
小さいころ、貧しくて空腹に耐えられずアリを食べていた……という過去があったからパパと出会えたと思うと、M美さんのつらい過去が少し報われたように思えますね。このころからやさしくて素直なパパ。M美さんはそんなパパに「私とは大違いだ」と思っています。自身の生い立ちから引け目を感じてしまうのかもしれませんが、自力で生活しているので自信を持って欲しいですね。