出会ってすぐに意気投合
のちの夫となる彼は友人の友人で、第一印象は「まるでくまさんみたいな人」でした。短髪に無精髭、がっちりした体格に日焼けした肌……。私の本来のタイプは色白、細身で眼鏡をかけて読書をしているような男性でしたが、傷心の私にそっと寄り添ってくれる温厚な彼に惹かれていくのに、あまり時間はかかりませんでした。
普段は人見知りな私ですが、すぐにその場で携帯番号を交換。数回デートを重ねるうちに自然な流れで付き合うことに。
私は異性に対して消極的になっていたころだったので、短期間で彼と仲良くなっていく様子に、友人が驚いていたのを覚えています。
付き合ってわずか3カ月で結婚へ
当時、私の職場と彼の実家が近かったこともあり、平日のデートは主に彼の実家で夕ごはんをご馳走になることが多かったです。初めてお邪魔したとき、とても温かく歓迎していただいたことを今でもよく覚えています。
彼も彼の家族も温かく、心地よさを感じていた私。しかし、私が婚約破棄をしたばかりということもあってか、私の父は彼に警戒心を抱いていたようでした。それでも、何度か会わせるうちに、彼の内面にある誠実さが父にも伝わったようで、週末は彼を交えて私の実家でも食事をするように。
彼となら家族も含めて仲良くやっていける……そう思った私は、半ば強制的に彼からプロポーズの言葉を引き出し、付き合って3カ月でめでたく結婚することになりました。
そして、数カ月後に控えた結婚式のため、多忙だった彼の代わりに、彼の実家で披露宴で使用する幼少期の写真を選んでいたときのことです。
まさか彼が浮気?無数に置かれた化粧品
彼の部屋で写真を探していると、引き出しに口紅とアイシャドウが目立たないように置いてありました。はじめは元カノが置いていったのかなと思い特に気にしていませんでしたが、次に部屋に入ったときは別のブランドの口紅、ファンデーションが……。もちろん、私が使用しているものではありません。
まさか彼に限って浮気? 二股? と、ショックでぼうぜんとしていると、奥に数枚のチラシのようなものがありました。何やら黒い薔薇や十字架で装飾されたフレームの中に、中世のお姫様のようなメイクをした5人が立っていて……。当時流行していた、ビジュアル系バンドのライブ告知用のフライヤーでした。
そのメンバーのうちのひとりは他の4人よりがっちりしていて、「あれ?どこかで見たような……」と感じた私。そして、よくよく見てみると……それは普段の姿とはあまりにもかけ離れた彼だったのです!
よくよくコスメを見てみると、口紅の色は紫や黒に近い赤色など、一般的なメイクで使わないものばかり。チラシの他に楽しそうなライブの写真やDVDなども見つかり、結婚式準備の合間に、ひとりでこっそり鑑賞しました。
結婚式後もしばらくの間内緒にしていましたが、彼のメイクがあまりにもひどかったのでこらえきれず知ってしまったことを彼に伝え、メイクのアドバイスをすることになりました。
ほどなくして、彼はバンド活動は辞めてしまいましたが、今でもときどき娘と一緒にこっそり写真やDVDを見て楽しんでいます。
著者/清水かのん
作画/今井美保
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