店内で怒鳴られる、よその子
店内を歩いていると、3歳ぐらいの男の子がパパに抱っこされて楽しそうに買い物をしていました。最初に見たときは「かわいいなぁ」と思ったぐらいで、特に気にとめてもいなかったのですが……。歩いていると、突然「うるせぇよ!」と怒号が聞こえました。
何かと思って目をやると、さっきの男の子がママらしき人に怒られています。男の子は道の真ん中で動けなくなっていました。ママはそんな男の子にさらに「無視してんじゃねぇよ! バカが!」「気持ちわりぃな」など、子どもに発するものとは思えないひどい言葉を吐き続けました。
葛藤したのち、何もしなかった自分
小さい子どもがひどい言葉を吐かれている状況を目の当たりにし、私は「えっ? えっ? どうしよう、どうしよう」と焦りました。男の子が怒られている間、「さすがに言い過ぎ? でも他の家のしつけに口出していいもの?」「でもこのままだったら手が出そうだし……」「声かけるなら何て言えばいいの?」と必死に頭を動かしました。
男の子は泣きもせず無表情でその場から動きません。周りにいるお客さんは「やりすぎじゃない?」「あの子かわいそう」と思っていそうな表情でしたが、みんな遠巻きにこの親子を見ているだけ。さっきまで楽しそうにしていたパパでさえ、近くで見ているだけです。結局、私がどうすべきか悩んでいる間に、ママらしき人は「イライラする!」と吐き捨てて行ってしまい、泣き出した男の子をパパが慌てて抱きあげ、ママのあとをついて行きました。
帰宅後に後悔が止まらなかった私
私は帰宅後も男の子のことが頭を離れませんでした。「誰も手を出さない中で、私も動く勇気が出なかった……」「息子を抱っこしていたし、トラブルに巻き込まれるのもなぁ」などぐるぐる考える中、ふと「あの男の子は何を思っていたんだろう?」と想像しました。
母親に怒鳴られ、父親も助けてくれず、周りの大人も見ているだけ。そんな状況をあの小さな体で受け止めていたのだと思うと無性に悲しくなり、「私もあの男の子を傷つけてしまったかもしれない」と激しく後悔しました。
男の子が何が原因で怒られていたのかはわかりません。あの場面で他人が割って入っていったら「何だこの人?」と変な目で見られたかもしれません。それでも、あの男の子のために何かできたのではないか、声をかけるなら何て言えばよかったのか、いまだ答えは出ませんが考え続けています。
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著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。