少し苦手な先生
初めての妊娠が判明し、わが家の近所にはいくつかの産婦人科があったため、出産するならどこの産院がいいんだろう?と迷っていました。夫とも相談し、当時30代後半だった私は、高齢出産のリスクを踏まえ、総合病院内の産科を選ぶことに。
何度か妊婦健診に通うと、そこの産科では曜日で担当の先生が変わるとわかったのですが、私はその中でも院長先生がどうも苦手でした。院長先生はとにかくぶっきらぼうで、内診のときに特に声かけもなく、痛みで思わず動くと、「じっとしていなさい!」と怒られる始末……。
陣痛に苦しむ私に、先生がひと言
そして臨月を迎え、夜中に陣痛らしき痛みがあったので病院へ連絡し、診察してもらうことになりました。実はこのときまだ妊娠36週だったのですが、すでに子宮口が7cmまで開いていたので入院することに。この日、夫は午後から勤務だったのですが、陣痛に苦しむ私に付き添ってくれて、早産になってしまうかもしれない……と不安がっていた私を励ましてくれました。
入院してから7時間後、そこへ例の院長先生が現れ、内診を受けることなりました。いつものように無言で内診され痛みを我慢していると、院長先生が「陣痛促進剤使うよ。いいね?」とだけ言ったのです。
夫が突然、強い口調で…
このときの私は、嘔吐するほどの陣痛に苦しんでいました。この痛みから解放されるなら……と、陣痛促進剤を使用する同意書に署名しようとしていたら、普段は温厚な夫が「待ってください。きちんと説明も受けていないのに陣痛促進剤を打たれるのは納得がいきません!」と強い口調で先生に言い寄ったのです。
先生も少し驚いたのか、微弱陣痛が続いていることにより、陣痛促進剤を使用する必要があることを説明してくれました。夫も私も納得したので、陣痛促進剤を打つことに。そして数時間後、早産でしたが無事健康な息子を出産しました。
産後、あのときのことを夫に聞くと、「〇〇(私)への身体的な負担や、赤ちゃんへの影響を説明しないのはおかしいと思った」とのことでした。あのとき、いつもは他人にあまり怒らない夫が、私と赤ちゃんのために強く意見してくれたことをうれしく思った出来事でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師 松田玲子
著者:小野 美穂
6歳の幼稚園男児のママ。子どもが乳児期に産後うつになり、治療をおこなう。現在は趣味のイラストを生かした仕事をしている。