口唇口蓋裂の娘から、たくさんのことを学び…
娘を妊娠して初めて知った「口唇口蓋裂」という病気。
娘が生まれた当初は情報が乏しく治療について知りたくても、知ることができなくて、不安でいっぱいでした。
口唇口蓋裂もひとえに症状も程度も異なります。
一人ひとりが同じ病気でも違い、多くの情報のなかで誰かと比べるのではなく、目の前の治療に向けて1つの参考になればと思い、この連載を続けてきました。
程度も違えば、受け入れ方も当事者ごとに違います。
お医者さんの言う「治る」と当事者本人が受ける「治る」という感覚が違い、そのどちらでもない保護者はどのようにあるべきかなのか……。
そもそも病気とは何なのか。そして、治療とは……?
親として向き合う口唇口蓋裂と、当事者の治療の歩みが重なることはないかもしれません。
ですが、少しでも寄り添えるように、親子、夫婦、家族なりの答えを悩んで探して
導き出していくことが大事だと感じます。
どんな病気もケガもひとりで耐えるのはつらい。
寄り添って向き合って手を添えながら、娘の口唇口蓋裂の治療が少しでも良いほうにあればいいなと思います。
1つひとつが改善につながるように、「親としてできる限りのことをしたい」その気持ちは娘を産んだときからずっと変わりません。
娘にとっても、私たちにとっても、口唇口蓋裂という病気だけが、家族の思い出のすべてではないこと。
家族でたくさん経験を乗り越え、楽しい思い出を重ね、大切にしていくことが、治療の励みに繋がっていくように思います。
それが影響しているのかわかりませんが、今のところ娘にとって口唇口蓋裂の症状や治療について大きな問題は特にないそうです。
娘のもともとの性格や環境も手伝っているのかもしれませんが、治療や手術のたびにご褒美が出ることなど明るく話しながら、今も元気に治療を続けてくれています。
多様性をうたう昨今、娘を産んだ当時よりも情報は大きく広がり、口唇口蓋裂だけではなく、いろいろな病気や個人の事情を目にして知る機会に恵まれるようになりました。
同じ病気や怪我でも1人ひとり異なることが、当たり前だと柔軟に受け入れられ、理解に繋がるように……。
私たち親子の経験が、誰かの参考に少しでもなれば幸いです。
これまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
◆「口唇口蓋裂ちゃん、育ててます」の連載は、これで終了になります。長きに渡り、ご愛読くださった皆様、どうもありがとうございました!
2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師REIKO