夫は初めて娘の食事を作って、大人の分の料理を作りながら、娘のために料理をする大変さを知った。
これまで妻に任せきりだった娘の体調を少しでも把握したくて、母子手帳やお薬手帳を確認した。
「ずっと一人で抱え込ませて、聞く耳持たなくてごめん……」
ちょっとした娘の体調の変化やトラブルのこと、妻が毎日話してくれようとしていたときも、まったく話を聞いてこなかった。「主婦なんだから、子育ては妻がやって当たり前」って思っていたから……。
申し訳なさそうな面持ちで、妻に何度も謝った。
その後、スマホにゲームの通知が届いた。画面に表示された通知をタップして……夫はどうする?
娘との時間を奪っていたスマホゲーム、夫は?
アプリを立ち上げたあと、ちらっと娘を見る。ご機嫌に絵本を見ている。育休をとったこの期間は、妻と娘と向き合うための時間って、決めたんだ……!
夫は、あんなに毎日のめり込んで遊んでいたスマホゲームを削除した。
「雪穂さえよければ、今までの結のこと、聞かせてほしい」
一緒に住んで毎日会っていた父親とはとても思えない、このセリフ。ただ、娘に関わろうとも、見向きもしなかった夫は、懸命に娘のことを知ろうとしていた。
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