「ずっと一人で抱え込ませて、聞く耳持たなくてごめん……」
ちょっとした娘の体調の変化やトラブルのこと、妻が毎日話してくれようとしていたときも、まったく話を聞いてこなかった。申し訳なさそうな面持ちで、妻に何度も謝った夫。
その後、スマホにゲームの通知が。あんなに毎日のめり込んで遊んでいたスマホゲームを、夫は削除した。娘との貴重な時間を、スマホに奪われないために。
「雪穂さえよければ、今までの結のこと、聞かせてほしい」
一緒に住んで毎日会っていた父親とはとても思えない、このセリフ。ただ、娘に関わろうとも、見向きもしなかった夫は、懸命に娘のことを知ろうとしていた。
遊び、泣き止ませ、入浴……逃げていたお世話を自らするように
夫は新幹線で家族の元へ通いながら、娘と遊んだり、お世話をする時間をつくっていった。
休日も仕事と称してゴルフや飲み会に行っていた夫。公園で子どもと遊ぶのを面倒がっていたが、今は積極的に行くようになった。
娘が泣くとすぐに妻へパスして、あやすこともしなかったけれど、泣きわめく娘と根気強く向き合って、なんとかして泣き止ませようとあやすようになった。
「お風呂ぐらい一人で入らせてよ」と言っていたけれど、娘と一緒に入るようになった。
あのとき、夫が避けたり嫌がっていた娘のお世話を、自らすすんでやるようになってきた。妻任せだった体調や成長面も把握しようと、本で調べて知識を得ようと努力していた。
そんなある日、みんなで「お隣さんは自宅に戻れたらしい」「私たちも早く戻れるといいんだけど」などと話をしていると、家がピシッときしむ音がして……!?
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