義母のみが動き回る義実家
義母はお世話をするのが大好きです。声をかければなんでもしてくれるので、義実家では義父も夫もまったく腰をあげず、義母が1人で動き回っています。義実家の様子を見聞きする限り、義母は喜んで家族のお世話をしているようですが、なんでもお世話をしてしまうことで、私の中では結婚後に驚いたことがあるのです。
それは食事に魚を出したときでした。夫から「魚の食べ方がわからないから、骨をとってほしい」と言われたのです。よくよく聞くと、夫が実家にいたころは、義母が骨をきれいに取り除いた状態で魚を出していたとのこと。「こんなことまでやってもらっていたのか」と衝撃を受けてしまいました。そのこともあってか、夫は骨付きの魚を食べるのがいまだに苦手です。
そして、夫としては、そんな自分の母親と同じように私にも動いてほしい様子でした。結婚したばかりのときは、私は”新婚マジック”にかかった状態で、なんでもしてあげたいと思っていたため、夫の希望に沿うようにお世話もしていたのです。
つわりと慣れない育児が始まる
しばらくして私の妊娠がわかりました。妊娠中はつわりがひどく、出産後は慣れない育児で、夫に気を配る余裕がなくなっていた私。私もできる範囲で動くけれど、夫には基本的に自分のことは自分でしてほしいとお願いしました。しばらくは夫も自分のことをやってくれていたのですが……。
子どもが1歳を過ぎたころ、夫から「育児、慣れてきた?」 と聞かれました。私が「少しずつね」と言うと、夫は「よかった」 と笑顔。私は「気づかってくれたのかな、やさしいな」と思っていたのですが、そのころから徐々に夫は自分でできることも私を頼るようになり、つわりが始まる前の生活に戻ってきたのです。
そのころには新婚マジックも解けていたので、夫の身の回りの細々としたことを私がする必要は感じませんでした。私は「自分のことくらい自分でしてほしい」と考え、夫の「してほしい」ということに、なるべく手を出さないようになりました。
自分のことは自分で
すると、夫の中で不満が溜まってきたようで、「改善してほしい」と言われたのです。
しかし、数年後には共働きになる予定もあり、育児・家事の全般を担っているだけで十分では?と思っていた私は、「自分でできることをあえて私にさせる意味がわからない」と伝えました。1歳を過ぎた娘ですら、ゴミはゴミ箱に、脱いだ服は洗濯かごに入れてくれているよと。それを聞いた夫は黙ってしまいました。そして少し不満そうではありましたが、娘を引き合いに出されたことが相当堪えたのか、夫は徐々に自分のことは自分でするように。
そんな夫の様子を見て影響されたのか、次第に娘も以前より自分のことを自分でやるようになりました。夫に「お手本になってくれたおかげだね」 とお礼を言うと、夫はなんだかうれしそうな様子。
今では夫は、長女と3歳差で生まれた息子に対しても、お手本になるべく行動してくれており、余裕のあるときには家事も手伝ってくれるようになりました。
義実家では、至れり尽くせりの生活をしてきた夫。世代や性格もあるでしょうが、私は義母のように「すべてやってあげる」ということはできませんでした。その不満を隠し続けず、ちゃんと自分の思いを伝えたこと、父親である自覚を夫にもってもらったことで、夫の行動に変化が生まれました。今でも、義実家に行くと夫はあっという間に”息子”に戻ってしまいますが、たまにですし、義母もうれしそうなので見守っています。
著者/田畑 菜々
作画/おんたま
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