娘の怒りと母の戸惑い
ある日、朝起きた私は、いつも通り窓のカーテンを開けました。すると、横で目を覚ました娘が「開けたかった!」と泣き出しました。着替えを出すと、「出したかった!」と泣き、朝食を出すと「作りたかった!」とひっくり返って怒りました。
前日までは私がしていたことが突然できなくなったのです。自分でやりたがることはいいことだと思いつつも、登園の時間があるので、すべて子どもにやらせるには限界がありました。
怒りポイントの把握と対処法
娘の要求はたくさんありましたが、主に自分がやりたかったことを誰かがやってしまうとかんしゃくを起こします。かんしゃくを起こすとなだめるまでに時間がかかるので、私はしつこいくらい事前に声かけをするようになりました。
また、娘がやりたいことのカードを作り、前日に、翌日やりたいことをいくつか選んでもらうことに。数を決めて選ぶことで本人も納得し、時間のない朝でもなんとかなるようになりました。
いつ終わるのだろう…試される忍耐力
カードや声かけは効果的でしたが、誰よりも先に靴を履きたい、一番に家に入りたい、などの細かい怒りポイントはたくさんありました。一度スイッチが入ってしまうと最初からやり直さないと納得せず、夕食を作り終えたあとに、「作りたかった! 最初からやり直して!」と泣かれて途方に暮れることも。
度重なる要求に、私はイライラして声を荒らげてしまうこともありました。娘の怒りのスイッチを避けながら行動するのは、なかなかに疲れる毎日です。いつか終わりが来るだろうとわかっていても、嵐が過ぎるのをじっと待つのはつらかったです。
しばらくして幼稚園での様子を先生に聞くと、園ではかんしゃくを起こすことはなく、むしろ今まで泣いてできなかったことも、泣かずにできるようになってきたと言われました。娘は、幼稚園でたくさん頑張った分、家で発散していたのかもしれません。そう思った私は、何度も怒ってしまったことを反省し、家ではなるべく穏やかな時間を過ごさせてあげたいと思うようになりました。そしてまたひと月が経つと、娘のかんしゃくはぱったりとなくなったのでした。入園したてで娘も新しい環境に慣れようと必死だったのかなと思います。娘の成長をおおらかな気持ちで見守っていこうと思った出来事でした。
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イラストレーター/ムチコ
著者:矢飼ふゆ子
4歳の娘と夫との3人暮らし。趣味は映画や海外ドラマを観ること。