生理の話はタブー。それが当たり前だった
私に生理が始まったのは中学生のころ。当時、自分の周りでは「生理が重いなんて大したことじゃないし、人に言うことではない。その間は静かに過ごそう」といった暗黙のルールがありました。生理が重いから病院に行くという発想はなく、母親から「うちの家系は、生理が重い人が多いから」と説明され、体を冷やさないといった対処法を教わる程度です。
そのため、「生理中である」「人よりも痛みなどが強い」ということをおおっぴらに言うのは、はばかられる雰囲気がありました。また、そういうことを口にする人は「浮ついている・遊んでいる」というネガティブなイメージまであったのです。
生理痛がつらい…けれど我慢するだけ
最初に生理痛を感じたのはまだ中学生のとき。私の場合、月経前の胸の張りや心身の不快感、おなかの痛みがひどく、経血量も多いです。一番つらいのは、1年に1度くらい疲労やストレスなどが原因で、生理が1週間以上遅れてしまうことでした。
そんなときは「生理を始めたいのに始められないよ」と体を悲鳴をあげているかのように、茶色く血のまじったおりものが出続け、おなかはしくしくと痛みます。そして、いざ生理が始まるとなると、立っていられないほどの激痛でのたうち回るほどでした。
中学生のころは母親と一緒にかかりつけの小児科で診てもらったり、高校生になってからは産婦人科に行ったりしました。しかし、検査をしても異常は見つからず、せいぜい痛み止めが処方される程度。
そうこうするうちに「このパターンはやばい」「今日の夜あたりに激痛がくる」と自分でわかるように。そういうときは自分なりの対処法でやり過ごしていました。今思えば、早いうちに低用量ピルを処方してもらえれば一番よかったのでしょうが、「自分からピルを希望するなんて恥ずかしい」という強い固定概念があり、どうしても言い出せませんでした。
こうして私は学生から社会人になり、さらには結婚してからも、このような生理症状が変わることなく続いていました。
産後の生理復活。家族に当たり散らす日々に嫌気がさし…
結婚して数年が経ち、子どもを授かることができました。妊娠中はいろいろとトラブルもありましたが、なにより「生理がないこと」は本当にラクでした。
しかし産後に生理が再開すると、また以前のように生理の苦しみを味わうことになりました。乳幼児を抱えて月経前症候群の症状が出てしまうのはつらく、子どもや夫にも悪い態度をとり、あとから自己嫌悪に陥ることが毎月の恒例行事に。けれども、依然としてピルを自らもらいに行く勇気は出ずじまいだったのです。
それから数年後、乳がん検診を受けに行った私は、問診票の「生理が重い」にチェック。すると先生から低用量ピルの提案を受けました。わが家は第二子を希望していなかったこともあり、あっという間に低用量ピルを服用する話が進み、1カ月分のピルを処方してもらったのです。
人によっては低用量ピルを飲むと気持ち悪くなることもあると聞いて、服用前は低用量ピルが合うのかドキドキしましたが、私の場合は副作用などもなく、まったく問題ありませんでした。
何よりも、低用量ピルを服用し始めてからは生理の回数が少なくなり、生理前のメンタルの不調が穏やかになることに感動! また、生理がきても不快感や腹痛は減り、さらに経血量が少なくて驚かされました。夜用のナプキンでも間に合わなかったり、不意に出るレバーのような塊の不快感から解放された喜びは、何にも代えがたいです。
毎日低用量ピルを飲むことや定期的に通院することは少しだけ面倒ですし、お金もかかってしまいますが、それ以上に私にとってはメリットが多いです。もっと早く病院に相談していたらよかった、と今さらながら痛感しています。
低用量ピルに対する固定概念から、処方してもらうことを避けてきた私。病院などで相談することもできず、痛みに耐えて生活した結果、家族にも少なからず心配や負担をかけてしまいました。今では「月経前症候群」など、生理にまつわる話もテレビなどでよく聞くようになり、芸能人の実体験なども広まり、「生理が重い場合は病院で診てもらったほうがいい」という認識も広まっていったように思います。だから、低用量ピルが「必要な人は飲んでもいいもの」ともっと認識されるようになり、選択肢の1つとして気軽に試せるような世の中になればいいなと思います。
著者/まるたろう
監修/助産師 松田玲子
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