楽しみにしていた修学旅行がブルーデーに
生理にまつわる大事件が起こったのは、高校2年生の修学旅行のときです。旅行へ行く前日から生理が始まってしまいました。生理期間や経血量などまだ不安定な状態でしたが、2日目が一番経血の量が多くなるとわかっており、リュックには少し多めにナプキンと生理用ショーツを入れておきました。
せっかく楽しみにしていた修学旅行がブルーデーと重なりましたが、生理痛は特にひどくありません。いつもより少し体がだるい、眠い程度だったので、友だちとたくさん話をしながら旅行を満喫していました。
夕食後は大浴場での入浴となりますが、さすがに生理2日目で入るのは周りに申し訳なく、担任の先生に生理中であることを伝えると、部屋に備え付けられたお風呂を使っていいと言われました。大きなお風呂に入れないのは少し残念でしたが仕方ありません。
ここまでトラブルも起きず順調でしたが、ただ最後まで気がかりだったのが、就寝中に経血漏れを起こさないかということ。旅館の布団には真っ白なシーツが敷かれており、少量の血でも目立ってしまいます。夜用の特大ナプキンをしてお布団に入ったものの「大丈夫かな?」と気になり、深夜の2~3時ごろまではなかなか眠れませんでした。そしてようやくウトウトと眠りに入り、周りの賑やかな声で目を覚ました瞬間に嫌な予感が的中したのです。
真っ白なシーツが! 動けない私を救ったのは…
おしりのあたりに何とも言えないヒンヤリとした感覚を覚え、祈るような気持ちで布団の中を覗いてみると、真っ白なシーツに大きな赤いシミがついていました。「どうしよう」とうろたえてしまい、布団の中から出ることができません。友だちが「おはよう」と声をかけてきても返事ができず、布団の中でシクシクと泣き出してしまいました。
友だちは私の体調が悪くなったのかと思ったようで、「先生を呼んでくるね」と部屋を出ていきました。同部屋は6人で、他の子たちも心配そうに声をかけてくれました。
たまたま部屋の近くにいたのが女の先生でした。「どこか具合が悪いの?」と聞かれ、絞り出すような声で「布団を汚してしまいました」と伝えると、先生はすぐに状況を察知し、「とりあえず着替えようか」と私の腰に羽織っていたパーカーを巻き付けてくれました。
私が別室で着替えている間に先生は手際よく布団を片付け、他の子たちにも「〇〇さんは大丈夫だから。みんなも早く準備して」とごく普通に対応してくれたのです。
少し気分が落ち着いたころに、友だちに正直に話すと、彼女もびっくりした様子で、「それはさすがに焦るね」と同情してくれました。先生にはパーカーを洗ってから返そうと思いましたが、「そのままでいいよ」と言われ、結局洗濯せずに返してしまいました。
修学旅行の悲劇を教訓に
自宅に帰ってから修学旅行での出来事を母に話すと、母はすぐに学校に連絡を入れ、対応してくれた先生に謝罪やお礼の言葉を繰り返していました。結局、修学旅行は楽しかったのか悲しかったのかわかりません。ただ思い出を聞かれると、真っ先に生理の失敗の記憶が蘇ってきます。しばらくはトラウマのようになっており、ホテルや旅館で白いシーツをみるたびにドキドキしてしまいました。
月日が流れていく中で、少しずつ傷は癒えてきましたが、旅行や夫の実家へ行くときに生理が被るとかなり神経質になります。そして、就寝の際は普通のナプキンではなく、ショーツ型のナプキンを使うように。また敷き布団の上に直に寝るのではなく、家から持参したタオルも敷くようにしています。荷物は多くなりますが、ここまで対策をすれば漏れも気にならず、朝までぐっすり安眠できるようになりました。
35歳を超えたころからは、経血漏れの失敗はありません。若いときに比べて経血量が少なくなったのはもちろん、自分なりに対策できるようになったのも大きいと思います。
次はそろそろ思春期を迎える娘の番ですが、寝相が悪いだけに就寝時の失敗も起こると予想できます。娘が慌てないよう、トラウマにならないよう自分の経験談を踏まえて漏れ対策を教えていきたいです。
著者/田中花代
作画/ちえ
監修/助産師 松田玲子
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