生理休暇という制度はあるものの…
生理休暇は労働基準法第68条において定められており、生理が重なり就業が著しく困難な女性が休暇を申請した場合には、使用者はその人を働かせることはできません。
生理の状況は人によってさまざまなので申請できる日数については決められておらず、半日や時間単位での申請もできるそう。しかし、私の知る限り、生理休暇の申請はほどんどおこなわれていないなと思います。
少し古いデータになりますが厚生労働省の調査によると、2014年4月1日から2015年3月31日の間に生理休暇を請求された企業の割合は2.2%で、女性労働者のうち、生理休暇を請求した人の割合は約1割に当たる0.9%だったそうです。
※令和2年度雇用均等基本調査では、生理休暇を請求された企業の割合は3.3%。女性労働者のうち、生理休暇を請求した者の割合は 0.9%(「令和2年度雇用均等基本調査」厚生労働省)
男性社員が多く、上司も男性が多数を占める職場では、生理を理由とする休暇を言い出しにくいのかもしれません。また、「休暇」という語感からか女性だけが休むことに不満を持つ人や、ズル休みだと疑う人がいることも感じます。私は、勤務先のそんな実情を変えたいと常々思っており、思惑とは違う方向にことが進んでしまったのです。
生理休暇取得を実現したかった私は
当時の私は大変真面目な市の職員でした。入庁当初は労働行政を担当しており、女性の労働問題にも取り組んでいました。この体験をしたのは、秘書広報室で広報公聴係としてケーブルテレビを担当していたときです。
私の生理の状態は、下腹部に鈍い痛みを感じる程度で、それほど重くはありませんでした。ただ、疲れているときなどにひどい生理痛を感じることはありました。
その日は特に疲れているという自覚はありませんでしたが、市内の家族を取材する番組を担当していた私は、土曜日か日曜日が取材でつぶれてしまい週休1日という状態が続いていました。
家を出た時点を含めれば取材時間は4時間を超えていましたが、仕事の開始時刻から計算すると3時間30分ほどになることが多く代休を取ることができなかったのです。
その日も朝から下腹部に鈍い痛みは感じていましたが、昼食に1階の食堂でご飯をひと口食べたところ急に下腹部に強い痛みを覚えました。
吐き気もしたので急いで最寄りのトイレの個室に入りましたが、腹痛もあるので便座に座ったほうがよいのか、吐ける状態でいたほうがよいのかもわからない状況でした。
うずくまっているうちに昼休みも終わり、仕事が始まるのでゆっくりと3階の秘書広報室まで階段を上りました。つらかったですが、職員がエレベーターを使うことは禁止されていたのです。
上司の気遣いが思わぬ方向へ…
そしてまっすぐ室長の席へ向かい、具合が悪いので休ませてほしい旨を告げました。どうしたのかと尋ねられたので「生理痛です」と言うと、おそらく当時50代だった男性室長のほうが動揺していました。
「そう言えば顔色が悪いな」と言われ、許可が出たので休憩室に行こうとすると、「つらかったら帰っていいよ」と室長の声が追いかけてきました。一刻も早く休みたかった私は、「自転車なので、この状態で帰るのは無理です……」とだけ言い残し、振り返りもせず休憩室に向かいました。
2時間ほどベッドでうとうとしていると、同じ課の女性職員が様子を見にきてくれて、痛みも引いていたので一緒に席に戻りました。
その後も室長が気づかって声をかけてくれたので、「ちょっと貧血を起こしていたみたいです」と言い、業務を再開しました。そこで、職場で生理休暇を取得した実績を作りたかった私は、室長に生理休暇を出したい旨を伝えたのですが「出さなくてもいい」と言われてしまいました。
仕方がないので「それでは、時間休を出します」と言うと、それも必要ないとのことでした。「有給休暇を出します」という申し出も却下されました。
私が働いていた職場では、誰かが病欠をしたときも特に届けを出さないことが慣例となっており、室長としては「休暇の届けを出さずに休んでいいよ」と厚意を示したつもりだったのでしょう。結局「生理休暇取得の実績を作りたいから」とも言えず、私の思惑は外れてしまったのでした。
女性が生理休暇を当たり前に取れる社会を
生理について語ることは、最近ではタブーではなくなってきました。しかし、生理休暇を有給休暇と同じように取得できるようになるには、まだまだ難しいのかもと感じた出来事でした。
生理は病気ではないですが、体のつらさは人それぞれ。女性の心と体について本当の意味で理解される日が早く訪れるといいなと、願っています。
著者/職場の不条理
イラスト/もふたむ
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