ハイスペックな彼との出会い
当時、彼は35歳で、私は31歳でした。結婚相談所で知り合った彼のプロフィールには、公務員・身長180cmと書いてあって、顔写真を見るとなかなかのイケメン。ハイスペックな彼に好印象を抱いた私は、「モテそうだしいい歳なのに、どうして独身なんだろう?」と疑問を抱きつつも、彼と会ってみることに。私たちが初めて顔を合わせたのは、ホテルのラウンジ。結婚相談所の決まりで、初回は1時間ほどお茶することになっていました。
2回目はお互いに時間があまりなく、午後3時という微妙な時間だったもあって、「カフェに行きましょう」と私が提案。楽しいわけでもなく嫌な思いをするでもなく、深い会話もできずに終わってしまいました。
ゆっくり会話をしたいのに…
彼がどんな人なのかわからず、次こそ彼とゆっくり会話をしたいと考えた私。そこで、3回目のデートは水族館に行ってそのあと居酒屋に行こうと、彼に提案しました。
そして、いざ3回目のデート当日。きれいな魚を鑑賞しながらゆっくり会話をしようと考えていたのですが、水族館に到着するやいなや、彼は自分ひとりで来ているかのような行動を始めました。まるで私はいないかのような振る舞いで、自分が見たい水槽に人混みを掻き分けてひとりでずんずん近付き、かじりつくように眺めること数分……。
「そろそろ次の水槽行きましょうか」と私が声をかけるまで動きません。「この魚、きれいだね」などの会話もまったくないまま、いつのまにか出口へ。そこにお土産屋さんがあったので、少し見てみることになりました。
驚きの行動を連発する彼
しかし、お土産屋さんでも彼はひとりでどこかに行ってしまいました。10分ほど経ったので辺りを見回してみると、ぬいぐるみコーナーでイルカとペンギンのぬいぐるみを片手にそれぞれ持ち、「ボク、ペンギン」「ワタシはイルカって言うの」と、ひとりで人形遊びをしている彼を発見! あまりの衝撃に声も出せなくなった私は、彼を数分ほど眺めたのち、「そろそろ行きましょう」とようやく声をかけることができました。そのあとは水族館を出て、私が予約した居酒屋へと向かったのですが……。
居酒屋に入店した私たちは、各々が好きなものを注文。すると、注文した焼鳥がテーブルに置かれると同時に、彼はサッと焼鳥の串に手を伸ばし、数日食べ物にありつけなかった人のように、ものすごいスピードでがっつき始めたのです! ろくに噛みもしないまま、彼は次々と焼鳥を口の中に放り込んでいきます。
さらに、私がサラダを取り分けようと「お皿ちょうだい」と言うと、彼に「セルフで!」と大きな声で断られてしまいました。新しい料理がテーブルに置かれると同時にすごい速さで彼の手が伸びるので、食事を運んでくれた店員さんも目が点になっていました。彼の食べ方はというと、右手に箸、左手になぜかおしぼり。ひと口食べるたびに、おしぼりで口を拭くのです。
彼は食べるのが早く、1秒の間に両手を交互に動かして、食べる・拭くを高速で繰り返します。それはまるで、ドラムを叩いているかのような不自然な動きで、カウンター席に座っていた私は、周りの人の視線がとても気になってしまいました。加えて、彼はお酒は頼まずソフトドリンクだったのですが、銭湯での風呂上がりのコーヒー牛乳を飲むかのように「ゴクゴク……プハーッ」と一気飲みするのです。私が話しかけても、彼は食事に夢中で会話になりません。結局、1時間もせず食べ終わり、解散しました。
結婚相談所で知り合ったハイスペックの彼は、実際に会ってみると、TPOや相手にまったく合わせられない人でした。水族館にいるときも食事をしているときも、彼は終始、自分ひとりでいるかのような振る舞い。「この人とは付き合えない」と思った私は、その日に彼との交際を終了しました。
結婚相談所は、それからしばらくして退会。結局、知り合いの紹介で出会った男性と結婚しました。夫とは趣味も合いますし、しっかりコミュニケーションが取れる人です。現在は子どもも生まれ、平凡で幸せな生活を送っています!
原案/山田みち子さん
作画/霜月いく
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