若い母親だからしっかりしなくちゃ
私が娘を出産したのは、20歳のとき。19歳で妊娠し、当時同棲していた彼氏と籍を入れたものの、いろいろな理由で娘が生後2カ月のときに離婚しました。離婚してからは、再婚する気などまったくなく、「女手ひとつで育てていくんだ」と、就職に有利になるよう資格の勉強をする毎日。
娘を連れてスーパーへ買い物に行くと、店員さんから「若いママだね!」と言われることが多く、「一般的に見て自分は若い母親なんだから、しっかりしないと」とも思っていました。
希望していないのに個別面談……
娘が生後4カ月のとき、市で実施している4カ月健診に行きました。事前のアンケートや面談で、生後すぐに離婚したことを保健師さんに伝えていました。
娘の計測や診察などがひと通り終了したとき、50代くらいの保健師さんから「個別に話したいことがあるから、ちょっとこっちの部屋に来てくれる?」と個室に呼ばれたのです。「個別面談の希望は出していなかったはずだけど……なんだろう?」と思いながら、部屋に入りました。
保健師さんから驚きの発言
部屋に入るなり、保健師さんに言われたのは「避妊ってコンドームだけじゃ不十分だって知ってる?」という驚きの言葉。あまりの衝撃に私が黙っていると「今の若い母親って、すぐ次の子ども作っちゃうんでしょ?」と保健師さんに言われました。
「離婚したばかりだし、相手もいないのに……。それに若い母親だからって偏見じゃないの?」と思いましたが、話を長引かせたくなくて、避妊方法や、出産後すぐにまた妊娠すると体の負担が大きいといった保健師さんの話に、相槌を打って話が終わるのを待ちました。
20歳でシングルマザーだった私が、娘を4カ月健診に連れて行ったときに保健師さんからかけられた言葉には本当に驚きました。私としては「若い母親ってそんなふうに思われるんだ……」とショックでしたし、「何か困りごとがあっても、あの保健師さんには相談したくないな」と思ってしまったのです。そのあとの10カ月健診、1歳半健診、3歳児健診も同じ場所で受けましたが、幸いその保健師さんに遭遇することはありませんでした。
私自身、さまざまな年齢の方とかかわる仕事をしていますが、この出来事は、年齢や見た目などで偏見を持たないようにしようと思うきっかけとなりました。
著者:吉川 みきな
15歳女の子と5歳と1歳の男の子の年の差兄弟を育てている母。反抗期の娘とイヤイヤ期の息子の育児に日々奮闘中。上の子を出産後に大学に通い、看護師の資格を取得。現在は看護師としてパート勤務をしている。