耐えられないほどの痛みが急に…!
生理痛がひどかったといっても、生理中ずっと苦しかった訳ではありません。一番大変だったのが、実際に生理が始まる少し前の時間帯で、下痢をしたときのような激しい痛みが走ります。
とにかく排便をすれば、体がラクになるような錯覚にとらわれていました。それくらい下痢に似たような痛みがあったのですが、実際には胃腸の不具合ではないため、当然のことながら排便はできません。特にひどいときは、歩くことはおろか立っていることすらできないほど。
さらに困ったのは、なんの前触れもなく生理痛が急に襲ってくることでした。さっきまでなんともなかったのに、突然痛みがやってきて体の自由が奪われるような感覚です。家にいるときであればなんとか対処できても、外出中はできません。
道を歩いているときや駅のプラットホームに立っているときに急に激しい腹痛が起き、その場にしゃがみこんでしまうことが何度もありました。普段から痛み止めの薬も持ち歩いていましたが、一緒に飲む水がないとうまく服用できず、あまり役に立ちませんでした。
生理痛以外にも悩みがあっても、我慢し続けた私
高校時代には期末試験の当日に生理痛になり、泣きたくなったこともありました。また旅行先で生理痛になり、立ち往生したこともあります。このときはひとり旅だったので、同行者に助けを求めることもできず、周囲は知らない人ばかりで心細い思いをしたものです。
そして、生理痛がくると食欲さえも一気に失せてしまいます。おなかがとても空き、夢中になって食べている最中でも痛みが走ると途端になにも食べられなくなるのです。
こんな話を聞くと「生理は周期的にやってくる訳だから、前もって生理痛の起きる日を予測できないのか?」と思う人もいるかもしれません。しかし私の場合、生理不順にも悩まされていたので、次の生理の到来日を予測することも困難でした。
これほど苦労していても、当時の私は「生理不順は好ましくないが、痛みがあるのは仕方がない」と思っていました。周囲を見ても生理痛を我慢している友だちが何人かいたことも、影響していたのでしょう。専門医を受診することさえ、考えていませんでした。
婦人科の診察を受けて言われたこと
そんな私が生理痛で婦人科の門を叩いたのは、30歳を過ぎてから。「生理痛の重い人は、何か病気が隠れている可能性がある」という話を聞いて不安になり、ようやく重い腰を上げたのです。
診察では血液検査を受けました。検査の結果、「特に異常はなく、病気とは言えないが、子宮内膜症を示す数値が高めだった」と言われました。病気でないことにひと安心したものの、「必ずしも正常な健康状態ではなかったのだな」と思いました。このとき、主治医からは生理痛を軽減する方法として、「飲めばラクになるよ。肝臓に問題のある人は使えないけどね」と、低用量ピルの服用をすすめられました。
父と伯父を肝臓がんで亡くしていた私は、この言葉を聞いて少し不安になりました。そのときの詳しい会話は覚えていないのですが、父の病気が肝炎ウイルスによるものでないことを説明したら、そのまま処方されました。
実際に飲んでみると、確かに驚くほど生理痛が軽くなったのです。ほとんど痛みらしい痛みがありません。ただ毎日、忘れずに服用しなくてはならないのが面倒でした。最終的には定期的な通院が負担となってしまい、服用をやめてしまいましたがこのとき味わった感動は忘れられません。
私の場合、生理痛が原因で思うように動けなくなり、普段の生活にもさまざまな制約が生じていました。今振り返ると、もっと若いころから低用量ピルを飲んでいれば、もっと充実した生活を送れたかもしれないと思っています。
著者/吉竹利恵
イラスト/sawawa
監修/助産師 松田玲子
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