私にプライベートなはいの!?
私たちは同棲を始めるタイミングで、お互いの両親に私たちが住むアパートの部屋の鍵を渡しました。あくまでも、緊急用として……。
ある日私が仕事を終え帰宅すると、部屋が所々模様替えがされていた様子。私は夫に「模様替えしたの? ありがとう」と伝えました。すると、夫からは「父ちゃんと母ちゃんがやった」という驚きの言葉が返ってきたのです。
驚きとともに、私は一瞬、ここが誰の家なのかわからなくなってしまいました。
また、違う日には、帰宅すると冷蔵庫に夕飯が用意されており、洗濯物も畳まれていたのです。義母がやってくれたようだったので、お礼のLINEを送りましたが、私の中では内心は怒りしかありませんでした。義両親の存在がずっと近くにあって私にはプライベートもないように感じ、とても苦しかったのです。
視点を変えてくれた父の言葉
そんな日が度々あり、私は同棲して2カ月ほどでノイローゼになってしまいました。
そして、親を悲しませたくはありませんでしたが、ほかに相談できる人もおらず、思い切って父に打ち明けたのです。義母が連絡もなく家に入っていること。勝手に何でもしてしまうこと。でもそれは善意の気持ちでしてくれていること。
複雑な私の心境と、苦しんでいることを全部話しました。
すると話を聞き終わった父から「逆に図々しいくらいに甘えちゃえば? そのほうがきっと向こうのご両親も喜ぶよ」と言われたのです。それは私の中にはまったくない考えでした。
時間をかけて築いた義家族との関係
父からもらった衝撃のアドバイスを、自分に落とし込むまでには時間がかかりました。
しかし義母の行動は100%善意であることもわかっていたし、私の心が追いついていないだけだと思い、義家族に純粋に甘えてみることにしたのです。
すると……もともと人に甘えることは苦手でしたが、実母のいない私にとって、本当の娘のように接してくれる義母の行為を、少しずつうれしく感じるようになれたのです。
そして結婚して8年経った今、義母とは本当の親子のようになんでも言い合える仲になれました。なんでも世話をやいてくれる義母に、今では存分に甘えています。
義家族の中にとけこむというのは、本当に難しいと思います。
私は結婚を通して、生活が違えばその家の常識もまったく異なることを知りました。同棲当時はとてもつらかったですが、今ではいい勉強になったと思えます。そして、柔軟な考え方ができれば大抵のことはうまくいくと教えてくれた父に、とても感謝しています。
著者/桜 七瀬
イラスト/おんたま
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