ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=『新しい家族のカタチ』について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声を紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。
今回は、お2人の妊活についてのお話。妊活を決意され動画で発表をしたところ、応援のメッセージだけでなく「産むのをやめてください」「子どもがいじめられる」などの厳しい意見も届いたそうです。さまざまな意見に、お2人の考えは……!?
妊活することを動画で公表
「子どもが欲しい」とずっと思っていたお2人。準備が整い、妊活を始めることにしました。そこで動画の更新頻度が落ちる可能性があるため、視聴者のみなさまが心配しないようにと、妊活することをYoutubeで公表しました。
左:ぽっちさん、右:みち子さん
妊活を始めるにあたって、何年も話し合ったお2人。将来的には2人とも子どもを産みたいと考え、年上のみち子さんから妊活をスタートしたそうです。
みち子さんの3人の甥(2023年1月現在9歳、3歳、1歳)の成長を近くでみているお2人は、子育てが大変だということは想像に難くないそう。そして、「子育ての大変さは、男女の夫婦でも同性同士でも変わりはないはず」と語ります。
「赤ちゃんは授かりものなので、期待しすぎないように頑張りたい」と思いながら妊活をスタートしたそうです。
写真は子宝で有名な神社にお参りに行ったときの絵馬
「産むな」「勝手すぎる」私たちの子どもはいじめられるの?
動画で、妊活をスタートしたことを公表したお2人。
同性カップルに対してさまざまな意見があるのは承知の上ではあったものの、受け入れがたい内容のメッセージが届くこともあったそうです。
*誤)お子さんが5人育ててる方 → 正)お子さんを5人育てている方
応援コメントもたくさん届きました。しかし、いろいろな立場の方から、「子育てはそんなに甘いものではない」という意見や、中には、こんな意見も……。
「産むのをやめてください」
「子どもがかわいそう」
「子どもが絶対いじめられる」
世の中の人はそんなにあなたたちのことを理解してくれない、将来子どもがいじめられる、という意見が届いたのだそうです。「こういう意見もあるのだなと理解できます」とお2人。
ただ、産むべきでないという意見を言う人から、
「犬を飼ったんだから我慢して」
「日本に同姓カップルで一緒に暮らせているだけでありがたいと思ってください」
と言われたり、毎日このようなDMを送ってくる方がいたりしたそうです。そこで、妊活そのものに苦しいこともある中、全部を受け止めるのは精神的に厳しいと判断。妊活について定期的に発信することは控えることにしたと言います。
こういった意見が届いたことについて、「ポジティブに発信したい」という想いから、妊活に対して「私たち妊活します!」と明るく発信したことが、軽いという印象を持たれた原因かもしれないと考えたお2人。子どもをもつことを軽く考えているのではなく、実際は何年もたくさん話し合って決めたことであると、改めて説明をしています。
周囲の理解について、私たちが体験して感じていること
さまざまな意見を聞き、妊活の定期的な発信をやめることにしたお2人ですが、それでもこれからの未来に明るい希望を感じていると言います。
未来に期待がもてる理由
中学・高校・大学での授業や、サークル活動・卒論制作においてLGBTへの理解を深めるためのインタビューを受けることがあるというお2人。「小学生にLGBTQ理解を広める」というテーマで活動している中学生・高校生の活動でインタビューを受けたこともあるのだそう。
お2人は、学生さんに協力したいという気持ちと、自分たちが子育てをしていく上で、学生さんたちの考え方を知っておきたいという気持ちもあって、そのような活動に協力をしていると言います。
あるとき、子どもたちと話していたときに「身近にLGBTの人がいると思うので、その子たちを傷つけない話し方を知りたい」という質問を受けたことがあるそうです。
このとき、「身近にLGBTの人がいる」ということを前提にして子どもたちが物事を考えていることに、お2人は衝撃を受けたと言います。そして、「偏見をもっていないんだ!」と驚いたそう。
お2人とも、「自分自身は自分が同性で結婚する未来があるなんて、子どものころはまったく考えてなかったし、知らなかった」と、子どもたちに知識があること自体がすごいと感じたのだそうです。
「絶対にいじめられないと思っているわけではないけれど、『知識がある』というだけでも昔の環境とは異なるし、いじめられる可能性は低くなっていると思う」とお2人。今は「1人ひとりの個性を大切に尊重する」という教育をしている学校も多いため、生徒の考え方もかわってきているのかもしれないと、こういった子どもたち、学生さんたちに触れるたびに、思うのだそうです。
そして、「以前よりもLGBTへの理解が広がる中で育つ子どもたちが、これから大人になる未来が楽しみ」というお2人。これからの未来はより明るいはず……! そう思えるのだと言います。
妊活について親に話すと…
「子育ての大変さをわかっていない」という意見が届いたことを、ぽっちさんがお母さんに伝えると、
「子育ての大変さを100%わかってから産む人なんていないでしょ」と言ってくれたそうです。お母さんの意見が妊活の背中を押してくれたこともあり、さまざまな意見を聞いても、やはり「子どもが欲しい」というお2人の気持ちは変わらなかったと言います。
そして、改めて「2人で頑張ろう」と決意しました。「自分たちで考えて覚悟して決めているので、誰かの意見でやめる可能性はない」と、お2人の決意は揺らぐことはなかったのです。
妊活を始めて1年。これからの想い
そして妊活スタートを公表した動画から1年後、お2人は現状を動画で伝えました。
現在妊娠はしておらず、妊活継続中とのこと。この1年間、みち子さんは検査や手術を経験したそうです。「妊活は大変だと聞いていたけれど、精神的な部分では想像以上に大変だった」と、みち子さん。
決してラクな1年ではなかったとのこと。けれども徐々に体調面、精神面ともに、乗り越え方がわかってきたそうです。
ぽっちさんは「検査のつらさは本人でないとわからないので、ネットで調べてつらさを想像しながら支えました。ただ、ホルモンバランスの乱れは明確な解決方法がないので大変だと感じました」と話します。
大変だったけれど、女性同士だからこそ、「こんな検査した」「こう言われた」ということに対して、共感してもらえてよかったとみち子さんは感じているそう。心から「そうだよね」と思えるのが女性同士ならではと言います。
ぽっちさんが、「落ち込むときもあったけれど、みち子が『今月はできる』と、いつもあきらめずにポジティブに妊活に励んでくれたおかげで、今もワクワクしている」と言うと……。
思わず泣き出すみち子さん。悲しい涙でも悔し涙でもない、よくわからない涙だとご本人は言いました。ぽっちさんは涙に驚きつつも、「1年間の頑張りを(この涙から)みなさんに察していただけたら」と視聴者のみなさんに語りかけました。
「1年間、正直大変なこともあったけれど『楽しみにしています』という視聴者さんからのコメントがとても励みになっているんです」と話すお2人。
温かい言葉のおかげで勇気が湧き、不安な気持ちも取り除かれているそうです。
動画のコメント欄には応援のコメントがたくさん届いていました。
「イジメられるかどうかなんて誰にもわからないし、同性だろうが異性であろうが愛情たっぷり注がれて育つ子どもはみんな幸せだと思う」
「ぽっちとみち子の子ども、絶対に心の広くて温かい子に育つよね」
「お2人がこんな風に頑張っている姿を見ると、自分もパートナーとの将来に希望を持てるような気持ちになれます。そしていつも通りの明るい姿に元気をもらえます! お2人のペースで進んでください、応援しています」
「お2人とも幸せそうで、こんな温かい家庭に来られる赤ちゃんうらやましいです! 私もいつかは彼女との赤ちゃんが欲しいなと思っているのでほんとに勇気をもらっています。ありがとうございます! 心から応援しています」
お2人の、憶測ではなく自分たちの目に見えているものを信じようとする気持ちは、視聴者のみなさまにも届いているようです。いつの日にか、お2人に赤ちゃんが来てくれることを願わずにはいられません……!
今の世の中には、さまざまな「家族のカタチ」があります。多様化の時代、どんなカタチの家族も幸せになれる社会になるといいですね。
お2人の出会いと馴れ初めから家族になるまでもこちらでご紹介しています。ぜひ読んでみてくさいね。
◇ ◇ ◇
YouTubeチャンネル「はぴLIFEチャンネル」では、お2人の日常生活の様子をはじめ、さまざまな動画が投稿されています。ナイーブな内容もできるだけ明るくお伝えされるお2人。見ているとポジティブな気持ちになれますよ。他の動画もぜひチェックしてみてくださいね。