神経質になってしまう生理前
若いころの私は生理自体が重いほうではなかったのですが、生理前の不調がかなりつらかったです。生理開始の1週間前くらいからとても神経過敏になります。普段はどちらかというとおおざっぱな性格ですが、生理前は部屋の汚れがとても気になり、掃除をせずにいられなくなるほど。それも神経質なほどに完璧を求めてしまい、ひたすら窓を拭いたり換気扇を磨いたりと、やや病的なほど掃除にこだわってしまうのです。
また、音に対してとても敏感になってしまいます。車の音や人が鼻をすする音、紙がガサゴソいう摩擦音や咳払いなど、小さな音でも気になってしまいとてもイライラするのです。音のせいで眠れなくなることもありました。普段は気にならない音がとても耳障りで、耳栓が欲しくなるほどです。
しかし耳栓をすると今度は耳触りが不快で眠れません。いずれにせよ、生理前はすべてが神経質になるのでした。
ある日、彼とのデート中に…
学生時代に付き合っていた彼氏には、私の生理前症状について話したことはありませんでした。しかし、一緒に過ごすうちに私の様子がおかしい時期があることに気付いたようです。私のことを大切にしてくれる人だったので、変化をわかってくれたのでしょう。
彼はバンドでボーカルをしており、デート中によく鼻歌を歌います。しかし実際にステージで歌うときや練習のときとは違い、デート中の鼻歌は音痴気味になることがあるのです。ある日、生理前で神経質になっていた私そのビミョーな音程差がとても気になりイライラして「ちゃんと歌って!」と怒ってしまったことがありました。突然私が怒ったので彼はとても驚いたと思います。
そのとき、自分が生理前であることに気づいた私は、生理前に起きる変化について初めて彼に話すことにしました。すると彼は静かに聞いてくれて、「そうなんだね、俺は男だからそんな体験はないけれどつらいね。気にしなくていいから、自然に振舞ってくれたらいいよ」と言ってくれたのです。
彼のやさしい言葉に思わず涙ぐんでしまったのを覚えています。「その時期は無理しなくていいよ。それが普通なんだから、そのままでいいからね」と言ってくれる彼に、感謝しかありませんでした。
彼だけが理解してくれた
生理前は自分をコントロールするのが大変だったので、アルバイトも苦労しました。また大好きな友だちと一緒にいてもイライラが抑えられなくなることがあったので、なるべく予定を入れないようにしていました。しかし、不安定な時期にひとりで過ごしていると、寂しくてより情緒不安定になることがあったのです。
彼に自身の症状について話してからは、自然と生理前は彼と過ごすことが多くなりました。自分のことを一番理解してくれるのが彼だったからです。少し私がイライラしてしまっても、「大丈夫だよ。生理前だから仕方がない。ちゃんと俺はわかっているからね」と笑って流してくれました。甘えてしまったことも多いですが、彼のおかげでつらい時期もリラックスして過ごせたのです。
PMS(月経前症候群)がひどいと本当に苦労します。症状について隠していると、ただのワガママなどと誤解され、人間関係がこじれることも少なくありません。自分のつらさを誰かに理解してもらうのはとても難しいですが、私はあのとき彼に正直に話したことで救われました。
著者/三好さくら
イラスト/おみき
監修/助産師 松田玲子
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