彼からの誕プレは憧れていたフェスのチケット!
社会人2年目になった24歳の誕生日。彼が音楽フェスのチケットをプレゼントしてくれました。付き合って初めての誕生日プレゼント、それもフェス好きの私でも行ったことがない、以前から憧れていた大きめのフェスということもあって、私はうれしさ倍増! 遠出にはなるけれど、せっかくなので彼と朝イチから参戦することにしました。
前日はお互い仕事のため、仮眠をとって深夜に迎えにきてもらい出発。昨夜の雨で地面がぬかるんでいましたが、野外フェスにもアウトドアにも慣れっこな私たちは、長靴とウィンドブレーカーを着用して準備万全! ステージ後方に座り、屋台で買った朝ごはんを食べて、洋楽に詳しい彼に教わりながらステージをまわることに。
思いっきり楽しんで!彼を送り出したら…
彼の好きなアーティストが出演しているステージにきたときでした。テンションの上がった彼に、「ちょっと前のほうへ行って見てきたい」と言われます。
私は初めて聴くアーティストだったこともあり、「思いっきり楽しんできて!」と彼を送り出して、「私より4つ年上だけど、少し子どもっぽいところもかわいらしくて好きだなぁ」なんて思いながら、ステージ後方で彼が戻ってくるのを待っていました。
別行動した数分後、彼にアクシデントが…
数分して彼が戻ってきたのですが、ちょっと様子が変……。ものすごい脂汗をかいて少し足を引きずり、元気がなさげなのです。どうしたのか聞いてみると、ステージ際まで行ってダイブしたはいいけど、支えてもらえきれず地面に落下したのだそう。そのとき右足首を挫いたみたいで、長靴をはいた右足がすでに腫れてきているのです!
「えぇ!! じゃぁここを出て病院に行こうよ! それとも土地感ないからまずは医務室!?」って慌てる私に、「いや、せっかくきたから。もう少し我慢できそうだし……」と言う彼。とりあえず最初に陣どったシートのところまで戻りますが、その間もどんどん腫れていく彼の右足首に、たまらず私は、
「心配だから医務室行こう! 折れてるかもしれないし!」と、今度は強くすすめます。それでも彼は、
「いや、もう少し我慢できる……」なんて居残ろうとするのです。私は半ばキレ気味に、
「何言ってるの!? いい加減行くよ!」と言って彼に肩を貸し、医務室に向かったのでした。
途中、私たちの姿が肩を組む仲のいいカップルと勘違いされ、雑誌取材の方から声をかけられる不意打ちにあいながらも、丁重にお断りして医務室へと急ぎます。
右足首骨折でフェスを満喫できずに地元へUターン
医務室で診てもらったところ、「おそらく骨折してそうだから、山を下りて近くの病院に行くか、地元に帰れそうなら、今後の通院のことを考えるとそっちでもいいかな」とのこと。地元へ戻ることを選びましたが、右足首を骨折した彼は運転できません。結局、私が彼の大きな四駆を運転することになり、午後になって会場を後にしました。
慣れない車と初めて走る高速。「運転中は集中してるから黙ってて!」と宣言し、必要な会話以外ほぼ無言の車内。サービスエリアでは多目的トイレまで彼を介助したりして、地元の救急外来に着いたのは、すでに深夜でした。彼が事前に連絡をしていたので、病院到着時には救急の方が待機しており、彼は車いすで診察室へ。
待合室でひとり待つうち、緊張だらけの運転からやっと解放され、無事に辿り着けた安堵感と前夜の寝不足がここで一気に私を襲いました。いつの間にか眠ってしまい、再び彼が現れたときは車いすに乗ったギプス姿。ここでバイバイってわけにもいかず、彼を家まで送り届け、彼にタクシー代をもらってようやく自宅へ帰りました。
もともと彼の破天荒さやヤンチャなところが好きだったのですが、その後もビックリさせられることが多く、だんだん付き合いきれなくなってきて……。もう一緒にいられないと判断しました。
別れ際に喧嘩になってしまい、その流れで「フェスのとき、不安で怖くて必死だった」と伝えると、「俺は、ケガ人なんだからもう少しやさしく接してほしかった」と彼。フェス当日は辛抱強く気をしっかり持って対応したつもりだし、そのあと彼がケガで動けない間も、心配で何度も彼の家にお見舞いに行ったのに、それでも不満を言うなんて……。
彼に振り回されることに嫌気がさした私は、「ぜひ、もっと面倒見のいい大人な女性とお付き合いしてください!」と言って彼とはキッパリお別れしました。
あれから10年以上経って精神的に余裕のある今なら、「頑張ってもう少し長く彼と一緒に過ごしてもよかったかな?」と思えますが、未熟な20代の私には、あれが限界でした。その後の私は、別の男性と結婚して子宝に恵まれ、彼も結婚してお子さんがおり、幸せにしていると風のうわさで聞いています。
文/山瀬 実希さん
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