「ママよりばあばがいい」と言う長男
当時、長男は5歳、次男は2歳でした。実母が大好きな長男は、実母に会えば常にくっついて甘えてしまう状態。しかし、次男も実母のことが好きなので、実母の取り合いで喧嘩になることがよくありました。
自宅では夫の帰りが遅く、ワンオペ育児をしている私。実母のおかげで肩の荷が降りるのは助かるけれど、寂しいやら悔しいやら複雑な気持ちでした。実家から自宅に帰るときも大変で、なかなか車に乗ってくれないのは長男。実家に帰省した週は、平日もしばらく不機嫌をひきずり、なかなか割り切れないようでした。
母の移住を知った長男と寂しい私
そんなとき実母が「移住することにした」と言い出し、遠方へ引っ越してしまいました。飛行機に乗らないと行けない場所へ移住してしまったので、もう今までのように頻繁に会うことはできません。私は寂しい気持ちと、実母の身勝手な行動に呆れながらも、実母自身の人生を楽しんでほしいとも思っていました。
2歳の次男はよく理解しておらず、ビデオ通話で話せれば満足なようでした。心配なのは長男です。案の定、不安定な日々が続きました。夜中に泣いて起きてしまったり、保育園を抜け出そうとして怒られてしまったり……。暴れる長男を抱きしめながら「ママはここにいるのに…… 」と、実母になかなか会えない寂しさと、長男の心の隙間を私では埋められないやるせなさに、私もよく泣いていました。
寂しいという感情を知った長男
ある日、長男と一緒に見ていたアニメで、友だちが引っ越すことを知り、喧嘩をするというシーンがありました。長男が「この子の気持ちがわかるかも」とつぶやいたので、じっくり話をすることに。
はじめはアニメのキャラクターの気持ちを考え、次第に自分の気持ちに置き換えて考えていきました。すると、長男はスッキリした顔で「僕は寂しいのか」と自分の感情を理解したようです。
そして「大人は寂しいときどうするの?」と聞いてきたので、ハッとする私。長男をどうにかすることに夢中で、自分の心のケアをしていなかったのです。私は、「ママなら、楽しいことをしたり、おいしい物を食べたりしたいな」と答えました。
その後、長男の不安定さは少しずつなくなり、感情のコントロールがうまくできるようになりました。小学2年生になった今でも、年に1度しか会えない実母にビデオ通話を通しても甘える長男。正直まだ少し悔しく思いますが、長男がうれしそうなので見守るようにしています。実母の移住は、私も寂しさを感じていましたが、長男も私も成長できるきっかけになりました。
イラストレーター/きょこ
著者:安藤 はるか
小2、年中の男の子と1歳の女の子のママ。カラーセラピストとしてお悩み相談のサービスを運用中。