「実はボク…」無口だった彼が突然しゃべり出し…かばんから驚きの物を取り出して！？

 

ある日、私は結婚相談所を通じて知り合ったある男性とお見合いをすることになりました。彼の写真を見たときの第一印象は「清潔感があって誠実そう」というもの。

 

実際、お会いしたときの印象もその通りでした。しかし「はじめまして。今日はよろしくお願いします」という最初のあいさつ以降、彼は黙りこんでしまったのです。

 

「もしかして口下手なのかな？」と思った私は、「お仕事はなにをされているんですか？」と話題を振りました。しかし、彼からは「うーん、説明してもわからないと思うんですけど」とあまり乗り気でないリアクションが……。

 

確かに、聞いてもよく理解することはできない内容ではあったのですが「せっかくのお見合いの場なんだし、もう少し興味を持って話してくれたらいいのに」と、私はモヤっとしてしまいました。

 

しかし、ある質問で彼の態度が一変したのです！

 

それは、私が「休日はなにをして過ごしているんですか？趣味は？」と質問したときのこと。これまでの態度が嘘のように、彼は急にイキイキし始めて「実は手品が得意なんです！ 手品はお好きですか？」と聞いてきました。

 

私がとっさに「はい、好きです！ 見てみたいな〜」言うと……彼はかばんからトランプを取り出し、手品を披露し始めたのです！ 手品のクオリティーは高かったので、私は素直に「すご～い！」と感心して彼を褒めました。

 

すると、彼は次のデートでも、そのまた次のデートでも、会うたびに「今日も手品を持ってきましたよ！」と、毎回手品を披露するようになったのです。

最初は彼が用意してきた手品を楽しんでいた私でしたが、毎回披露されると、正直「また手品か」と飽きてきてしまって……。

 

このとき、私から「もう手品はたくさん見せてもらったので……それよりもっとお話ししませんか？」と言えていたらよかったのかもしれません。しかし、「気まずくなることをわざわざ言いたくない」と思ってしまい、私は彼に正直な気持ちを伝えることができませんでした。

 

そして、手品に対する私のリアクションは次第に薄くなり、そんな私を見て彼もつまらなそうな顔をするように……。結局、手品も会話も弾まなくなった私たちは、交際に至ることなくお別れすることになってしまいました。

 

 

彼とのお見合いは、会話を楽しむことなく終わってしまいました。しかし、この出来事で「私はその人との会話を楽しめなければ、関係を続けることが難しいんだな」と学ぶことができ、現在の夫とは会話を重視したコミュニケーションで仲を深めることができたと思っています。

 

著者／ココロナナコ
イラスト／マメ美