つらくてうまく笑えない
私が所属していたチアリーディング部は、“笑顔が命”を合言葉にしていました。そのため、変な習慣があり、部活が始まる前に必ず更衣室にある大きな鏡の前に立って、ストレッチでペアを組む先輩の前で口角を思いっきりあげる練習をするのです。
そして文化祭のリハーサルの日。その日、生理2日目で生理痛でだるかった私はうまく笑えませんでした。すると、ペアの先輩から「元気がないの? ストレッチでしっかり体をほぐせばよくなるよ!」 と言われ……。体がつらい中、恐怖のストレッチの時間が始まることに。
衣装のウエストがもともときつめだったこともあり、おなかの痛みはさらに強まるばかりでした。また、ミニスカートだったため、「経血が漏れたらどうしよう」という不安も付きまとっていたのです。
まったく集中できない練習
10分間のストレッチが終わり、リハーサルが始まりました。
そして、演技中盤に組み込まれていた、3人体制になり1人を飛ばしてキャッチする技のときのことです。
ふと、演技を見ていたコーチや先輩たちの視線が私に集まったように感じました。普通は、飛んでいる子に視線がいくかと思うのですが、なぜかそのときは見られている感覚があったのです。
私は一瞬で「経血が漏れてしまったのかも!?」と思いましたが、演技に集中せねばならず、ひきつり笑顔でその場を乗り切りました。そして、2分半の演技が終わるとすぐにコーチが駆け寄ってきて……。
まさかのボタン
コーチから、「お昼食べ過ぎた? 派手にボタンが飛んでったよ!」 と言われたのです!
演技を見ていた先輩がボタンを拾ってくれていて、私に渡してくれました。
私は視線が集まったと感じたのはてっきり経血が漏れたのだと、恥ずかしい思いでいっぱいになっていたので拍子抜け。ボタンが外れたことは、まったく気づいていませんでした。
その後、生理痛が強まったので「生理で……」と、すぐに休憩させてもらった私。ボタンが飛んだのも恥ずかしいですが、なにはともあれ経血が漏れたわけではなくひと安心しました。
高校1年生の思春期真っ只中ということもあり、生理で不安でも周りの人に事情を話せなかった私。ただ、やはり言葉にしないといらぬ心配をしてしまうなと思ったので、それ以降は生理のときは無理せず生理であることを打ち明けるように。そして生理中の激しい運動の際にはタンポンを使用すればもっと集中して取り組めたのかなとも思っています。
著者/伊東理恵子
作画/Michika
監修/助産師 松田玲子
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