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思わぬ落とし穴!?手取り額を減らさないために確認を!知らないと損する「扶養範囲の条件」とは?

ファイナンシャルプランナーの大野先生が、働くママが気になる「扶養範囲の条件」について教えてくれました。せっかく働くのであれば、手取りをなるべく減らさずに働きたい!と考える方も多いことでしょう。「扶養から外れる条件とは?」「扶養内で働くってどういうこと?」という疑問がある方はぜひ参考にしてくださいね。

この記事の監修者
監修者プロファイル

ファイナンシャルプランナー大野高志

1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計 代表取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
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「扶養の範囲内で働こう」と考える子育て世代の人は少なくないと思いますが、同時に「働き過ぎて手取りが減るかもしれない」ということも聞いたことがある方は多いと思います。今回は働き過ぎて思いがけず扶養範囲を外れることが無いように扶養範囲と収入についてのポイントをお伝えして参ります。

なお、この記事は2023年4月時点の内容です。税金や社会保険の制度や基準は見直される可能性がありますので、ご了承ください。

 

1.扶養の範囲の基本的事項

扶養と一口に言っても、税金(所得税・住民税)と社会保険(健康保険・国民年金保険等)と勤務先の家族手当(扶養手当・配偶者手当とも)はそれぞれ基準が異なります。税金・社会保険は法律等で基準が明確ですが、家族手当等は扶養者の勤務先の規定等により一律のルールではありません。そのため、最初は基本的事項について確認しましょう。

 

※なお、今回の記事は扶養者(扶養をしている人・パパ)、被扶養者(扶養をされている人・ママ)ともに会社員・公務員・医療機関や教育機関の従事者など、勤務先から給与(パート・アルバイトを含む)を受けている人を前提としています。

ママがメインで働きパパが扶養されている場合や自営業者・フリーランス等の場合、副業・副収入がある場合などには条件が異なるものもありますので、ご注意ください。

 

 

①年収とは

1月1日~12月31日の1年間に勤務先から支払われた給料・賞与・手当等の合計額です。いわゆる税込みの収入(源泉徴収票の項目では支払金額)に当たります。期間は年度(4月~翌年3月)ではありません。

 

②所得税・住民税の配偶者控除・配偶者特別控除

パパの年収が1195万円以下で、ママの年収が103万円以下の場合に配偶者控除が適用されます。控除額と減税となる税額はパパの年収等によって異なります。

また、パパの年収が1195万円以下で、ママの年収が1,030,001円~2,015,999円の場合には、配偶者特別控除が適用されます。(配偶者控除と配偶者特別控除の大きな違いは、扶養対象となる配偶者の所得金額に応じて、扶養者の所得控除が異なる点です。)

 

③社会保険の扶養

正式には健康保険の「被扶養者」、国民年金の「第3号被保険者」と言います。原則は、ママが年収130万円未満の場合、パパの勤務先の健康保険に無料で加入でき、国民年金も保険料を支払わなくても支払っているものとして取り扱われ、将来の年金が計算されます。パパが自営業者・フリーランス等で国民健康保険に加入している場合には、社会保険の扶養は受けられず、ママの分の国民健康保険料・国民年金保険料を支払う必要があります。

 

④勤務先の手当

勤務先の手当は勤務先によって、家族手当、扶養手当、配偶者手当など名称が異なり、対象となるママの年収要件も異なります(ママの年収が103万円または130万円以内の場合が多いのですが、その他の基準の場合もあります)。税金や社会保険と異なり法律上の義務はないため、すべての勤務先で実施されているものでもありません。厚生労働省の令和2年就労条件総合調査によりますと、家族手当等を実施している企業は全体の68.6%でした。また、手当の金額も勤務先によって異なります。なお、令和2年就労条件総合調査によりますと、家族手当等の平均額は月17,600円でした。

 

2.手取りを全く減らさないための扶養範囲は年収93万円以下

いわゆる扶養範囲内で働いていても、一定の金額を超えるとママが税金を払う必要がでてきます。最初に支払う可能性があるのは、年収93万円を超えると支払い義務が出てくる住民税(都道府県民税・市区町村民税)の均等割です。なお、この基準はお住まいの自治体(都道府県・市区町村)によって異なり、年収93万円が基準ではなく年収100万が基準となる場合もあります。また、税額も自治体によって異なり、標準的な金額は年間5,000円ですが、環境や水源の保護等に充てる費用を加算しているところも少なくありません。なお、年収100万円を超えると、住民税の均等割とは別に所得に応じて税額が変わる住民税の所得割が発生します。住民税の基準や税額を具体的に確認したい場合には、お住まいの自治体のホームページまたは税務課等の課税担当部署に確認してください。

 

3.年収103万円を超えると所得税を支払う可能性があります

扶養範囲で働く際に気にする人の一つの分岐点である年収103万円ですが、これを超えると以下の3点の可能性が生じます。

 

①ママに所得税が掛かります

(生命保険料控除などの所得控除がある場合には年収103万円を超えてもかからない場合もあります)

 

②パパの配偶者控除の適用がなくなります

(ママの年収が201万5999円以下までは配偶者特別控除が摘要されます)

 

③パパの勤務先の家族手当がなくなります

(家族手当を実施している事業所の3分の2程度がママの年収103万円を基準しています)

 

例えば、パパの年収が400万円でかつ、家族手当が年18万円(月1万5000円)支給され、ママの年収が90万円を前提とした場合で説明をします。こちらのママの年収が110万円に増えた場合には、パパの家族手当18万円が支給停止され、ママの所得税・住民税が1万8000円掛かります。そのため、ママの年収が額面上20万円増えても、家族手当の支給停止と所得税・住民税の合計で19万8000円の家計のマイナスとなりますので、手取りとしては2000円しか増えないことになります。そのため、年収103万円を超えない範囲で働くかどうか考えるご家庭が少なくありません。しかし、家族手当の基準が年収130万円であったり、そもそも家族手当が無かったりする場合には、所得税・住民税の影響しかないため、多少の税負担であれば、もう少し働こうといった考え方もあるため、年収103万円を基準にするご家庭と年収130万円を基準にするご家庭に分かれることになります。

 

なお、従業員数が101人以上の事業所では、週20時間以上・雇用期間2か月以上の勤務、月8万8000円(年収にすると106万円)以上の収入があると、扶養の有無に関わらず、ママの勤務先での社会保険の加入が義務付けられています。健康保険料は勤務先の健康保険組合等によって多少差がありますが、協会けんぽ・東京都に勤務先がある場合、月収8万8000円に対する健康保険料は4,400円、厚生年金保険料は8,052円となり、1年間の合計は149,424円となります。将来の厚生年金の受け取り額が増える点はメリットですが、直近の手取りは減りますので、勤務先や勤務条件によっては、ママの社会保険の負担も併せて考える必要があります。

 

4.年収130万円以上になると社会保険の扶養の対象外となります

年収103万円の次に基準となる年収130万円ですが、ママの年収が130万円以上になると、ママの勤務先の社会保険加入の義務がなくても、社会保険の扶養の対象外となり、ママ自身で社会保険の加入が必要となります。勤務先の社会保険に加入できない場合には、お住まいの市区町村で国民健康保険・国民年金の加入・支払が必要となります。 

国民健康保険料(国民健康保険税と表示される自治体もあります)は年収とお住まいの市区町村によって異なりますが、2023年度の横浜市の場合、年収130万円の国民健康保険料は81,180円となります。国民年金保険料は収入に関わらず全国一律で、払い方(1年一括払いやクレジットカード払い等)によって割引もありますが、通常の払い方の場合、2023年度は月16,520円(年198,240円)となります。年収130万円未満でパパの社会保険の扶養に入っている場合には、ママには健康保険料・国民年金保険料の負担はありませんが、年収130万円以上になると、上記の例の場合、1年間に約28万円の負担が増えることになります。そのため、税金の負担額よりも社会保険の負担額の方がインパクトは大きいため、年収130万円未満にするかどうかを考える人も多いです。
手取りベースで考えると、上記の例の場合では、年収129万円より年収157万円の方が手取りは少なくなりますので、手取りを増やそうと思う場合には、この範囲を避けた方が現状は良さそうです。

 

 

 

今回お伝えした、年収103万円や年収130万円の基準は以前から働きたいのに働けない状況を発生させるため、収入が低くせざるを得ない状況があり、人出不足等にもつながるため改正を求められる状況が続いています。2023年3月の記者会見では、岸田首相がこの制度を見直す考えを示しています。しかし、税金や社会保険は多くの人や事業所に影響があるため、すぐには見直しできない事項でもあります。現状では、思いがけず手取りが減らないように税金や社会保険の基準や勤務先の手当などをしっかり確認すると良いでしょう。

 

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