窓際族と呼ばれているが
高校を卒業してから今までずっと同じ会社で働いているタケシ。若いころは出世レースの対象となり、評価も上々。
しかし、タケシを評価していた上司が部長の座を奪われてしまい、それに伴ってタケシの評価も下落……。今ではすっかり窓際族と呼ばれるポジションに。
出世レースから外れてしまったことがきっかけで家族からも見放されてしまっていたタケシは、家にも会社にも居場所がありませんでした。
もう何年も妻の手料理を口にしたこともなければ、タケシが帰宅するとあからさまに嫌な顔をされる始末。妻と娘が話しかけてくれるのは給料日の日だけ。それ以外はタケシがいてもいなくても変わらない様子でした。
そんなタケシの憩いの場は徒歩10分の場所にあるカラオケスナック。
スナックのママである明美は気さくな人で、常連客の優作とパニ子と一緒にお酒を飲んで歌うことが何よりの癒やしでした。
タケシは歌がじょうずで、よくパニ子や優作からリクエストをされることもしばしば。「定年間際のおっさんがただ歌っているだけなのに……」とタケシは思っていましたが、不思議と悪い気はしませんでした。
タケシは家族に必要とされていない中、ここでは誰かに必要とされている実感が持てて気持ちがラクになるのを感じていました。
退職の日、まさかのプレゼントが
定年退職の日、タケシは後輩社員から花束をもらい今までのことに思いをはせながら会社を後にしました。
いろいろなことがあったけれど、家族には支えてもらったからということでケーキを買って帰ることに。今日くらいはやさしく「お疲れ様」と言ってくれるだろう、そう思いながらタケシは帰宅しました。
しかし、タケシを待ち受けていたのは「ゲッ!! ママ、もうお父さんが帰ってきたよ!」という娘の辛辣(しんらつ)なひと言。
一方で妻は「長いことお疲れ様でした」とタケシを労わる言葉を口にしました。それに加え、プレゼントがあるとのことでタケシは驚くばかりでした。
そんな妻から渡されたプレゼントは……まさかの離婚届!
1000万円の退職金の行き先は
どういうことだと慌てるタケシを見て、「お父さんって本当に鈍感だよねwwそんなに鈍感だから、出世レースからも外されたんじゃない?」と娘はあざ笑っていました。
妻も「本当、あなたは察しが悪いのねwwもうあなたは用済みだから離婚してってこと!」と言ったのです。
先ほどとはまったく違う様子の2人に戸惑うばかりのタケシ。そして2人はタケシの退職金は自分たちがもらって行くと言いだしたのです。
タケシは定年後の第2の人生について相談しようと思っていましたが、その必要はないと悟り、離婚届にサインをしました。
家族のために何十年も働いてきたタケシにとっては耐え難い仕打ちでした。たしかに父親として、そして夫として至らない部分はあったかもしれないと思いながらも、2人を許せない気持ちでいっぱいでした。
タケシは1000万円の退職金を手放し、妻と離婚。しかし、第2の人生を謳歌できる! と前向きに考えている部分もありました。
順風満帆な第2の人生
離婚から数カ月後、会社員時代よりも忙しい日々を過ごしていたタケシ。そんなタケシの元に、妻から1本の電話がかかってきました。
内容はタケシに戻ってきて欲しい、家族は一緒にいたほうがいいというものでした。しかし、タケシには2人の魂胆がわかっていました。
退職後、タケシはなんと歌手デビューをしていたのです! カラオケスナックの常連客であった優作とパニ子は夫婦で有名な音楽事務所を経営していました。
優作夫婦はタケシの歌声に可能性を感じ、定年後は歌手として活動しないかと誘われていました。退職した日も、タケシは歌手として生きていくことを妻と娘に相談しようと思っていたのですが、それを告げる前に離婚届をたたきつけられてしまったのです。
タケシの歌はSNSでも好評で、今や動画は100万回再生されるほどの人気歌手。つまり、お金もしっかりと稼いでいるということでした。
妻と娘は退職後のタケシはお金を稼げないということで見捨てようと決めたのです。
今度は自分が妻たちを見捨てて
今回2人がタケシに連絡をしてきたのも、タケシからもらった1000万円を使い果たしてしまったからだったでした。
2人がどんなつもりで連絡をしてきたのかわかっていたタケシですから「もうこれ以上、君たちに用はないし話すこともない」ときっぱりと言い、電話を切りました。
その後、妻と娘が1000万円を使い果たし、持ち家も売却することになったと聞きました。ですが、タケシは2人を可哀想だとは思いません。
むしろ自業自得だと思っているようでした。
タケシは優作夫婦プロデュースの元、歌手として華々しく活動していくのでした。
第2の人生を自分らしく生きているタケシ。これまで妻と娘から受けてきた扱いを思えば、毎日がとても楽しいのではないでしょうか。自分らしく生きることは難しいですが、タケシのように好きなことをしながら生きられるといいですよね。
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