愛情だと思ってたのに
彼と付き合い始めたばかりのころ、有頂天だった私は彼のことしか見えていませんでした。そんな彼は嫉妬深く、私のメールの返信が遅いと「いまどこ?」「どうかした?」とメールを立て続けに送ってきたり、私が行く先々についてこようとするときも。しかし当時の私は、彼のそんな部分も愛嬌だと感じていて、むしろ「そんなに私のことが大好きでたまらないんだなぁ」とうれしく思っていました。
そして、付き合い始めてから初めて私の誕生日がやってきました。彼に「プレゼント楽しみにしててね」と言われていた私は、いつも彼から受けていた熱烈な愛情を振り返りながら「もしかしてプロポーズされちゃうのかなぁ」と楽しみにしていました。
それでもまだまだ好きでした
そして、ついに迎えた誕生日当日。素敵なレストランを予約してくれていて、そこで彼が嬉々として渡してきたのは驚きの物だったのです。
それは、包みもせずにむき出し状態の“子ども用のGPS付き携帯”——!
スマホが普及し始めた当時売られていた、メール機能や発着信機能、そして親が子どもの位置情報を見ることができるGPS機能がついた簡易的なガラケーです。
これまで彼が小出しにしてきていた異様な束縛を察知できていなかったのも今思うと不思議ですが、「彼が私のためにプレゼントを用意してくれた」ということに感動していた私は、特に疑問を抱くことなく、彼から渡された“子ども用のGPS付き携帯”を喜んで受け取ってしまいました。
監視の日々
そして、その日から彼の“監視”が始まったのです。まず、私は常に自分のスマホとGPS付き携帯の2台持ちを強要されました。そして彼はGPS機能を使って、私の位置情報と私が彼に伝えた予定を照らし合わせては、分刻みでスケジュールを管理するように……。
当時のGPS付き携帯のGPS機能には多少のズレがありました。例えば、繁華街を歩いているのに偶然周辺のラブホテルに位置情報が出ることもあるのです。以前、私がラブホテルにいると勘違いした彼が激怒し、怒鳴られたことがあります。あのときの彼の怒鳴り声は、今でも忘れられません……。
このころには彼の異常な束縛がおかしいと気がついていましたが、彼に対して「別れる」というのも怖かった私は、なかなか彼に別れを告げることができませんでした。
そして彼とは約4年間付き合い続け、その間ずっと彼の監視下におかれながら過ごすことになってしまいました。
現在は、束縛をしない夫と出会い、快適に過ごすことができています。元彼と付き合っていたころに「愛」だと感じていたものは、実はただの執着や依存心の現れだったのだと、おだやかな夫に出会って気づきました。今は「相手を信頼することが愛情」なのだと思っています。
著者/つちやです
イラスト/かたくりこ
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