想像していたキラキラのマタニティライフ
私の周りには子どものいる夫婦が少なく、リアルなマタニティライフをよく知りませんでした。そのため、「特にトラブルがなければ、つわりさえ乗り越えたら、あとは臨月まで自由にのんびりできる」と勝手に勘違いをしていました。
当時の私にとってマタニティライフとは、体を大切にしつつ、マタニティフォトやマタ旅を楽しんだり、かわいいベビーグッズを選んだりする、キラキラした楽しい時間というイメージでした。
不妊治療で我慢していた分、発散!?
私は、体外受精4回目で子どもを授かることができました。当時、不妊治療は保険適用外で、治療費は非常に高額でした。そのため、なるべくお金を使わないように、さまざまなことを我慢していた私たち夫婦。妊娠することができ、これまで我慢していた分、楽しい時間を過ごそうと考えました。
「動けなくなるのは、臨月からでしょう。それまでに準備すればいいや」と勝手に思い込み、つわりが終わった途端、仕事終わりに映画を見に行ったり、友人と外食したり、タガが外れたかのように遊ぶ日々。気がつくと、妊娠6カ月に。おなかは急速に大きくなり、周りから「臨月?」と聞かれるようになりました。そして、少し歩くだけで息切れやおなかの張りを覚えるようになっていたのです。
妊娠7カ月で寝たきり状態に……
妊娠7カ月、腹囲は96cmになっていました。「やばい、まだ準備ができてない」と焦りましたが、体がつらく、10分も歩けない状態で外出などできません。店頭で実物を見たかったのですが、もう無理だと判断してネットショップで必要な物を注文しました。医師に相談しても、「双子を妊娠している割には順調だよ。つらいなら、つらくない体勢を取ってください」と言われるばかり……。
それから出産まで、毎日ほぼベッドの上でした。スマートフォンばかり見て目が痛く、ずっと横になっているので腰や肩のこりがつらかったです。1日中、家から1歩も出ず、何もできないので天井を眺めてばかりいました。マタ旅やマタニティフォト、最後の夫婦だけの思い出作りといった、キラキラしたマタニティライフとは程遠い生活を送ったのでした。
妊娠経過は順調だったので、まさか妊娠7カ月で動けなくなるとは思ってもみなかった私。多胎妊娠を甘く見ていたことを反省するとともに、「スマートフォンひとつで買い物ができる時代で本当に助かった」と、現代社会に感謝したのでした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
著者:長谷川 なぎ
4回の体外受精の末に男女の双子を授かった、2児の母。営業事務やコールセンターのオペレーター、イベントスタッフ、工場ワークや物流会社での肉体労働など、学生時代からさまざまな職種を経験。現在は、多彩なジャンルでライターとして活動中。