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更年期に太りやすいのはなぜ?「ぽっこりおなか」対策におすすめの運動3選【医師解説】

運動して脂肪を燃焼させれば痩せてはいくけれど、なぜかおなかだけは引っ込まない。手足は細くなっても、おなかだけぽっこりという声を、多くのプレ更年期、更年期女子から聞きます。そこで、ぽっこりおなかになってしまう理由と対策について、産婦人科医の善方裕美先生にうかがいました。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師善方裕美先生
産婦人科 | よしかた産婦人科院長

横浜市立大学産婦人科 客員准教授。日本産婦人科学会専門医。女性ヘルスケア専門医。日本骨粗しょう症学会認定医・評議員。約30年にわたって多くの悩める更年期女性と向き合い、更年期障害についてカウンセリング、HRT(ホルモン補充療法)、漢方薬、食事、運動、代替医療など多方面のアプローチで治療をおこなう。著書『最新版 だって更年期なんだもーん 治療編』(主婦の友社)。
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若いころと更年期の違いは?

世代によって脂肪の付き方が違う!

太った若い人を「ぽっちゃり」という言葉で表すことが多いけれど、太ったプレ更年期、更年期世代は「もってり」「どっしり」。若い人は肌もハリがあってツヤツヤしていてたるんでいる感じがないから、ぽっちゃりにもご愛敬が。

 

でも、プレ更年期、更年期世代はおなか周りがだぶついて締まりがなく、だらしない感じが出てしまいがちに。たとえ若いころと同じ体重でも、この大きな見た目の違いは脂肪の付き方にあります。

 

太ると若い世代は皮下脂肪になり、太ももやおしりがむちむち、俗に言う“洋ナシ型”。一方、プレ更年期、更年期世代は顔やバスト周りがふくよかにならず、おなかばかりがぽっこり。脚や胸はそれほど太っていないように見えるため、丸いリンゴのような体形に見える“リンゴ型”に。

 

このぽっこりおなか体形の原因は、内臓を支えるおなかの筋肉が弱くなることと、内臓脂肪が増えることにあります。

 

更年期に太る理由は減らない「内臓脂肪」

女性ホルモン「エストロゲン」の減少が影響

ウエストを測定

 

女性ホルモンの一つエストロゲンは、コレステロールの分解代謝をし、悪玉コレステロールを低めに抑えています。でも、閉経前後の更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが減少し、内臓脂肪の分解が弱くなるので、腸の周りの腸間膜に脂肪がたまり、“リンゴ型”に。

 

よって、プレ更年期、更年期を迎える前の女性ホルモンが安定していたころと同じような食生活や運動量でいると、内臓脂肪がたまり始め、ウエストのくびれがなくなっていくので注意が必要です。

 

また、内臓脂肪の増加については血液検査の数値でも知ることができます。

 

内臓脂肪の増加を測る診断基準

脂質異常症診断基準(空腹時採血)*

・LDL コレステロール

 ・140mg/dL以上:高LDLコレステロール血症

 ・120~139mg/dL:境界域高LDLコレステロール血症**

 

・HDL コレステロール

 ・40mg/dL未満:低HDLコレステロール血症

 

・トリグリセライド

 ・150mg/dL以上:高トリグリセライド血症

 

・non-HDL コレステロール

 ・170mg/dL以上:高non-HDLコレステロール血症

 ・150~169mg/dL:境界域高LDLコレステロール血症**

 

* 10時間以上の絶食を「空腹時」とする。ただし水やお茶などカロリーのない水分の摂取は可とする。

 

** スクリーニングで境界域高LDL-C血症、境界域高non-HDL-C血症を示した場合は、高リスク病態がないか検討し治療の必要性を考慮する。

 

・LDL-CはFriedewald式で(TC-HDL-TG/5)または直接法で求める。

・TGが400mg/dL以上や食後採血の場合はnon-HDL-C(TC-HDL-C)かLDL-C直接法を使用する。ただし、スクリーニング時に高TG血症を伴わない場合はLDL-Cとnon-HDL-Cの差が+30mg/dLより小さくなる可能性を念頭に置いてリスクを評価する。

 

出典:日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版:25,2018

 

上記のいずれかに入る場合は、古くは「高脂血症」といわれていた脂質異常症と診断され、積極的な食事改善が必要になります。更年期のぽっこりおなかが気になりだしたら、健康診断の血液検査の結果を見ながら、医師に内臓脂肪の状況を聞いてみると良いでしょう。

 

次の章で、効果的で続けやすい「内臓脂肪対策」をご紹介します。

 

 

内臓脂肪を減らす「有酸素運動」おすすめ3

消費カロリーを増やすことが内臓脂肪減少に◎

有酸素運動

 

1日の摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余ったカロリーは脂肪に変換され腸間膜に蓄えられます。これが内臓脂肪。体の奥深くにたまった脂肪は落としにくい気もしますが、実は内臓脂肪は蓄えられやすい半面、エネルギーが不足すると簡単に消費されます。つまり運動で消費カロリーを増やせば、消費される内臓脂肪の量も多くなるわけです。

 

有酸素運動のポイント

内臓脂肪を減らすなら、有酸素運動を毎日30~60分ほど続けてみましょう。まとまった時間を取れないときは、1日の間に10分の運動を6回など、短時間に分けておこなっても同様の効果を得られます。

 

POINT

・毎日30~60分ほど続ける

・まとまった時間を取れないときは、1日の間に10分の運動を6回など

 

毎日続けていくには、時間や場所の制約、コストがあまり掛からないなど日常生活に取り入れやすいものが良いでしょう。スポーツジムに通ったり、高価なグッズを買わずに手軽にできる有酸素運動のおすすめ「3つ」をご紹介します。

 

【1】ウォーキング

ウォーキング

 

プレ更年期、更年期世代なら、一番お手軽なウォーキングはどうでしょう。10分あたり30~40kcalを消費できるので、一つ先の停留所や駅まで歩いてみたり移動にエレベーターではなく階段を使ってみたり、意識して体を動かしてみるのも一つ。内臓脂肪を減らすための運動は続けることが大事! 最低でも週に2回以上おこなうのがおすすめです。

 

POINT

・10分あたり30~40kcalを消費できる

・一つ先の停留所や駅まで歩いてみる

・エレベーターではなく階段を使う

・最低でも週に2回以上おこなうのがおすすめ

 

【2】自宅で簡単!ステップエクササイズ(踏み台昇降)

踏み台昇降

 

踏み台を3分間昇り降りした後の心拍数を測って、心肺能力や持久力を調べる踏み台昇降運動。学校のスポーツテストでおこなったのを記憶している方も多いのではないでしょうか。

 

あの地味な運動も実は有酸素運動の一つ。多くのスポーツジムで「ステップエクササイズ」として、音楽のリズムに合わせてテンポよく楽しむことができます。

 

ステップ台はホームセンターやネット通販で販売していますので、自宅でのステップエクササイズも可能です。2,500円から4,000円程度で、高さ調整や滑り止め機能、トレーニングマニュアルがついているものが買えます。

 

また、YouTubeではステップエクササイズ用の動画が多数アップされていますので、自宅にいながらスポーツジムのように音楽やインストラクターのアシストを見聞きしながら楽しめます。運動に慣れていない方は入門編を選んでみましょう。スポーツテストのイメージを覆す、意外と楽しいトレーニングですので、ぜひ一度試してみてくださいね。

 

POINT

・ホームセンターやネット通販で購入可能(2,500円~4,000円程度)

・音楽のリズムに合わせて楽しみながらできる

・Youtubeでステップエクササイズ動画が多数アップされている

 

【3】オンラインエクササイズ

エクササイズイメージ

 

オンラインエクササイズは、“おうち時間”が増えたことで、運動不足解消のためのサービスとして2020年から急速に普及しました。

 

オンラインエクササイズのメリットは、ちょっとしたスペースがあれば気軽に楽しめること。これまで対面レッスンのみだったスポーツジムやヨガスタジオも、オンラインで楽しめるプログラムを充実させているほか、オンライン専門のフィットネスアプリも数多く登場しています。

 

脚が上がらなくても、動きが変でも大丈夫。ジムと違って誰も見ていませんから、少々間違っていても動きが変でも気にせずできるのが良いですね。

 

POINT

・スポーツジムやヨガスタジオの本格的なエクササイズが自宅でできる

・他人の目を気にすることなく取り組める

 

 

まとめ

激しい筋トレはプレ更年期、更年期世代にはちょっと過酷……。でも、ウォーキングなら、毎日の買い物や犬の散歩などで続けられそうですね。また、自宅でできる簡単なエクササイズなら、予算もあまりかけずに自分の生活リズムに合わせて無理なくできます。

 

ぽっこりおなかを引っ込めて、しばらくお目にかかっていないウエストのくびれよ、再び!

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

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取材・文/井上裕紀子

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